韓国、膨らむ政府債務と家計負債、募る国民の不満(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国政府が、コロナ禍で景気を刺激するために取った浮揚策の資金は不動産や株式市場に向かい、政府の価格抑制政策にも関わらず、不動産は高騰を続けている。しかし、自営業者などを始め、資産をあまり持っていない一般人の家計は負債のみが膨らみ、将来の不安を募らせている。今回は、韓国政府の政策と国民の募る不満を取り上げる。
時限爆弾になりかねない負債増加の状況
政府は国民から税金を徴収し、公務員の給与、庶民への支援、道路など社会インフラの整備などをそのお金で行い、国家運営をする。収入に比べて支出が多くなると、国は国債を発行して借金をするが、国も借金が多くなると首が回らなくなる。国の借金が適切であるかを見極める指標が国内総生産(GDP)と政府の債務の対比である。 韓国のGDP対比一般政府債務比率は2020年が48.7%、21年が53.2%、26年には69.7%と増加することが予想されている。
一般論でいうと、発展途上国は債務比率が高い。開発などのために外国から資金を借りることが多いためだ。しかし、債務比率に気を取られて借金を少なくすると、債務比率は低くなるが、発展が遅くなる傾向があるため、全体のバランスが大事である。
従来、韓国はどちらかというと、債務比率は低い方だった。ところが、文在寅大統領が就任して以降、国家債務が急激に膨らみつつあるようだ。加えて、家計負債も急激に増えており、専門家は警鐘を鳴らしている。韓国の家計負債の残高は昨年末に1,726兆1,000億ウォン(約165兆5,000億円)となり、初めて1,700兆ウォンを上回るようになった。
第3四半期と比べて44兆2,000億ウォン(約4兆2,000億円)の増加と、史上3番目の大幅な増加になるという。不動産が高騰したことにより、不動産を買うために銀行借り入れを増やしたためだ。今は利子率が低いため問題ないが、もし利上げが実施されたら、莫大な家計負債は韓国経済の「時限爆弾」になりかねない。
負債増加の原因とは?
上記のように、不動産の高騰と教育費の負担により、韓国の家計負債は膨らんでいる。国土が狭く、天然資源に恵まれない韓国では、土地に対する執着心が強く、また教育への投資しか成功への道がないと考えられていた。それが不動産の高騰と異常な教育熱を引き起こしている。
低い出生率と高齢化社会の進展も今後、家計負債の増加につながるだろう。少子化が進んでおり、韓国の合計特殊出生率は、なんと0.84人を記録した。これは生産人口が減少することを意味しており、社会が衰退に向かうことになる。
加えて、高齢化の進展は社会福祉費の増加を招き、家計に負担をかけることになる。韓国ではこのような要因が重なり、負債が増加している。すべての負債の増加が悪いことではないが、負債が「爆発」しないよう注意が必要であることはいうまでもない。
(了)
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