経産省が新エネルギー基本計画、太陽光・風力発電普及に本腰
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経済産業省は21日、新しいエネルギー基本計画の素案を発表した。同省総合エネルギー調査会基本政策分科会で、2030年までに温室効果ガス割合を13年度比46%削減する目標へ向けた道筋を示した。
素案では、30年の電源構成を再生可能エネルギー36~38%(19年度18%)、水素・アンモニア1%(同0%)、原子力20~22%(同6%)、LNG20%(同37%)、石炭19%(同32%)、石油など2%(同7%)としている。
30年における太陽光発電や風力発電などの再エネ導入量は、3,300~3,500億kWhを目指す。導入の内訳は、太陽光発電100GW(ギガワット)、陸上風力15.9GW、洋上風力3.7GW、地熱1.5GW、水力50.6GW、バイオマス8.0GW、これに加えて200~400億kWhの再エネの追加導入を見込む。
追加導入の主な施策として、(1)系統増強などを通じた風力の導入拡大(北海道を中心に4GW程度の導入量拡大)、(2)地域共生型再エネの推進(さらなる再エネ促進地域の設定)、(3)民間企業による自家消費促進、(4)地熱・水力などにおける現行ミックスの導入水準の達成に向けた施策強化――などを挙げている。
これらはあくまで計画であるが、実現のための具体策を見ると、再エネ普及における根本的な課題に切り込んでいない点も多く、30年までの温室効果ガス46%削減に向けた「数字合わせ」となっている可能性も否定できない。
再エネについては「最大限の導入に取り組み」としているが、系統接続や取引市場の仕組みは再エネ推進とはなっていない。系統への接続の「先着優先ルール」を見直して再エネを接続しやすい仕組みをつくり、石炭火力や原子力などが参加できるため再エネ主力電源化に逆行している「容量市場(※1)」の見直しなどが必要だ。電力取引市場の整備が進まなければ、再エネも普及しにくいとみられる。
太陽光発電や風力発電などの気候や時間帯によって発電量が変わる再エネをうまく使うためには、発電した電力を溜めておく蓄電池の普及が欠かせない。経産省は蓄電池について、30年に19年度比で約10倍となる累計約24GWの導入を見通している。経産省は「さらなるコスト低減に向けては、国内の生産規模の拡大が必要」としているが、蓄電池の低価格化が政策によってどこまで進むかが注目される。
また、「災害時の安定供給確保」を挙げているが、大規模発電所が災害や不具合、整備によって稼働しない場合は電力の安定供給に関わるため、リスク対策上でも分散型電源(※2)を普及させることが大切となる。
エネルギー基本計画は温室効果ガス削減に重きを置いているが、持続可能な社会のための環境対策はCO2削減のみではない。発電所の開発から廃棄、原発の使用済み燃料の処分問題、地域環境の保護までの広い視野で考え、環境に負荷の小さい仕組みをつくることが必要となる。
【石井 ゆかり】
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