中国経済新聞に学ぶ~ディディに制裁、ネット企業による独占状態も終焉か(後)
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ビッグデータが大国間の衝突の場に
ワシントンポストは7月9日、「ウォールストリートついに目覚め中国の現実を察知」との見出しで、「中国の技術系大手、アメリカより数十億ドルを提供された直後に痛い締め付け」との文章を掲載した。これがきっかけとなり、ウォールストリートで中国の最も忠実な支持者でさえ、ゲームは根本的に変わってしまい、状況は好転でなく悪化だ、と認めたのである。
アリババやテンセントといった中国の技術系会社が今、さまざまなかたちで莫大な制裁金を科せられている。アメリカで資金を調達している会社が締め付けに遭っているのだ。アメリカとはある程度距離を置くべきと気付いた中国は、自らのやり方でこのプロセスを統制し、企業を自国に戻して資本市場を刺激したいと考えるだろう。
ブルームバーグは7月9日、ディディヘの取り締まりはビッグデータの規制に関わりがあるとの記事を載せた。広い意味でいうと、この取り締まりでビッグデータが今や超大国同士の次なる衝突の場になってしまい、グローバル経済は今後数十年間、その影響を受けるのではないか、との見方である。
国の統治が大変危うくなる
中国は、データがよからぬ者に利用されることを心配しているのだ。その発端は、昨年アメリカで上場会社の会計監査部門に対し、国内で取引しているアリババやバイドゥなど中国の大手に対する監査を認める法律が採択されたことである。中国政府は、社内の文書やアカウントが検閲されることでセキュリティーが脅かされると見なしているのである。
ディディの一件は、決して単なる国と資本関係の突発事象ではなく、技術革命とグローバル化時代、資本的要素と国の力との関係が張りつめている姿を映したものである。セキュリティーと資本独占における駆け引きが見える。
技術が変革する時代、中国の技術系大手の成長と国の統治の在り方に、政治や経済の意図がふんだんに詰められている。ビッグデータの時代、国の安全を守りデータの独占を排除することは、国家統治の目標にほぼ沿ったものである。
中国政府は、ネット会社における技術や市場の独占は、中国の特色ある社会主義の「ともに豊かに、平等に」という長期的な目標にそぐわないとみており、それゆえにこうした資本や技術系大手に対する規制強化へと走っている。
先ごろのアリババへの制裁にしても、今回のディディにしても、ネット大手が業界内でもう十分に定着しており、経済問題や政治問題となり、あるいは市場行動も国の安全問題となり得ることを忘れがちである。情報セキュリティーの業者による独占がはびこると、国の統治が大変危うくなる。
デジタルの勝ち組と権力者の間で、複雑で長期的な駆け引きが始まっている。規制の嵐が訪れているという大きな背景の下、どれほどの大手でも政府に抗う術はないのである。多くのネット企業が沈黙するようになって、花が咲き乱れたこの業界の春も終焉を迎え、国の厳しい規制に遭い、ある程度の国有化も避けられないのではないか、との予測もつく。
ニューヨーク証券取引所からディディが撤退する日が近づいたり、一儲けを狙っていたソフトバンクの願いもはかなく消えたりするのだろうか。
(了)
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