【連載】コミュニティの自律経営(58)~ドラッカー学会in博多
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元福岡市職員で、故・山崎広太郎元市長を政策秘書などの立場で支えてきた吉村慎一氏が、2024年7月に上梓した自伝『コミュニティの自律経営 広太郎さんとジェットコースター人生』(梓書院)。著者・吉村氏が、福岡市の成長時期に市長を務めた山崎氏との日々を振り返るだけでなく、福岡県知事選や九州大学の移転、アイランドシティの建設などの内幕や人間模様などについても語られている同書を、NetIBで連載していく。
連載の第1回はこちら。ドラッカー学会第16回大会in博多
時津薫さんを中心としたドラッカー読書会は平成20年(2008)~平成23年(2011)まで続き、しばらくの間を置き、平成28年(2016)4月からは鬼塚裕司さんを導師としたヤクドラ読書会(会場が薬院駅に近かった)を月イチペースで始めていた。
読書会も4年を超えた令和2年(2020)の晩秋だったか、ドラッカー学会を福岡でやらないかと鬼塚さんが切り出した。福岡でやらないかというのは、僕に実行委員長をやれというのと同義語なので、当時、僕はさまざまな案件を抱えており、とても手が回らないと脊髄反射で断った。
さらに鬼塚さんは、福岡では8年前に大会をやっているが、そのときはin福岡だったから、次やるならin博多でしょ、とも言った。これが刺さってしまった。
福岡/博多の双子都市構造は、僕の強いこだわりである。さらに、その年春のドラッカー学会でご縁をいただいた内田奈及子さんの元で、学び始めていたマインドフルネスに強く惹かれていた。これまで学んでいたNLPやパーソナル・ファウンデーション、コーチング、さらには俄にかぶれ始めていた空海の思想なども、マインドフルネスに収斂してきていた。また読書会の有力なメンバーで、当時福岡市保健福祉局部長/現環境局長の中村卓也さんがマインドフルネスを市の事業として取り組み始めており、機は熟してきていた。「ドラッカーマネジメントの真髄はセルフマネジメントにあり」との思いも湧き上がってきて、「マインドフルネスとドラッカーをつなげよう!博多でやるんだから、禅にも手を伸ばしたい。それでいいなら、やる」と、年末のヤクドラ読書会の望年会で宣言してしまった。
年明け、学会の理事会で「ドラッカー学会第16回大会in博多」の開催が正式決定され、実行委員会を組成して準備を始めた。コロナ禍のなか、前年の函館大会が苦渋のオンライン開催となっていたので、対面開催を目指したが、コロナ禍の動向が読めず、対面とオンラインのハイブリッド開催とすることとし、実行委員会のメンバーには多大な負荷をかけることになってしまった。
企画趣旨は、中村卓也さんが意を汲んで、さっとつくってくれたが、すばらしい内容だった。
後々、井坂康志さん/現ドラッカー学会共同代表から「博多ドクトリン」であると、ご評価もいただいた。実行委員会の総力を結集して、狙いを定めた第一級の方々の登壇が実現し、当日は企画の意図を遙かに超えて大きな成果が得られたと自負している。このような大会の実行委員長を務めさせていただいたことに感謝し、僕のドラッカーの旅が1つの終着駅に辿り着いたとの満足感に浸らせていただいた。
ドラッカーの箴言「体系的廃棄」
~僕のビルドゥングスロマンを終えるにあたってドラッカーの箴言には多くの学びを得てきたが、僕が一番苦手だったのは、「体系的廃棄」だった。いつもあれやらこれやら手を出して、目いっぱいとなって、整理整頓が苦手なために物は溢れ、書斎(地下のアジト)の整理が10年近くも「課題」で居座り続けた。
しかし、今回こうして、ジェットコースター人生をたどっていると、僕は結構大胆に廃棄してきたことに気が付いた。まったく計画的ではなく行きあたりばったりの廃棄ではあったが、そのことが、僕の人生に新たなステージを切り拓き、結果的に点と点をつないできてくれたように思う。ちょっと整理してみよう。
(1)平成6年(1994)福岡市役所を退職し、国会議員の政策秘書に。
これまでとこれからのキャリア、福岡市政への夢を捨て、日本新党/政治改革に挑戦し、前例のない自分だけの人生/ジェットコースターに乗った。(2)政治の道を捨て、専業の大学院生へ。
政策秘書の失職後、政治の世界を離脱して無職の道を選び、専業の大学院生として大学教員を目指すとともに学び直しに取り組み、NPMに遭遇し、DNA改革の当事者となった。(3)山崎市政終焉時にドラッカー学会へ参加
一つの役割を終えた人生の転換点で本格的なドラッカーの学びが始まり、その後の人生の大事な補助線となっていった。(4)定年退職後、人生二毛作の地へ
市役所の再雇用/再任用制度は受けず、まったく未知の土地、未知の仕事の介護事業に取り組み、結果として、NLPやパーソナル・ファウンデーション、コーチングなどの学びを得た。そのことが僕のセカンドカーブを豊かなものにし、さらに、マインドフルネス、禅の学びに発展している。(5)プロの改革から市民自治へ
これまで力を入れてきた行政改革や議会改革などのいわゆるプロの改革は捨て、広太郎塾を柱にした市民の主権者意識を育み、市民自治の創造に力を注ぐことにした。僕は、意図せざる「体系的廃棄」の実践者だったのかもしれない?
(つづく)
<著者プロフィール>
吉村慎一(よしむら・しんいち)
1952年生まれ。福岡高校、中央大学法学部、九州大学大学院法学研究科卒業(2003年)。75年福岡市役所採用。94年同退職。衆議院議員政策担当秘書就任。99年福岡市役所選考採用。市長室行政経営推進担当課長、同経営補佐部長、議会事務局次長、中央区区政推進部長を務め、2013年3月定年退職。社会福祉法人暖家の丘事務長を経て、同法人理事。
香住ヶ丘6丁目3区町内会長/香住丘校区自治協議会事務局次長/&Reprentm特別顧問/防災士/一般社団法人コーチングプラットホーム 認定コーチ/全米NLP協会 マスタープラクティショナー
著書:『パブリックセクターの経済経営学』(共著、NTT出版03年)『コミュニティの自律経営 広太郎さんとジェットコースター人生』
著 者:吉村慎一
発 行:2024年7月31日
総ページ数:332
判サイズ:A5判
出 版:梓書院
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