2024年12月22日( 日 )

古賀市で「温泉×新ビジネス」のインキュベーション施設が今秋オープン

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インキュベーション施設として生まれ変わった旧「快生館」
インキュベーション施設として生まれ変わった旧「快生館」
田辺一城・古賀市長
田辺一城・古賀市長

 コロナ禍で休業を余儀なくされた古賀市の温泉旅館が、装い新たにインキュベーション(新規創業・新規起業の支援)施設としてリノベーションされ、今秋にオープンする。28日、メディア向け内覧会が行われた。

カフェ&コワーキングスペースに改装された旧宴会場
カフェ&コワーキングスペースに改装された旧宴会場

 リノベーションされたのは、古賀市の山間部に位置する薬王寺温泉にあった温泉旅館「快生館」。1925年4月の開業から100年近い歴史を重ねてきたが、新型コロナ感染拡大の影響で宿泊客が激減し、昨年5月に事実上の閉館となっていた。

 そこで、「天然温泉という市の重要な観光資源かつ地域資源が失われてしまう」ことを危惧した田辺一城・古賀市長が、同時に働き方の変化といった「withコロナ」社会の到来に対応した活用策を模索。温泉旅館施設をリノベーションし、天然温泉付きのシェアオフィスやコワーキングスペース、サテライトオフィスなどのインキュベーション施設として再生させる策を打ち出し、2020年9月の議会で行われた予算の提案および承認を経て、実現に向けて動き出した。国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、5,000万円の予算をかけてリノベーション工事を実施し、今年6月末に第1期工事が完了した。

最大10人での利用が可能なオフィスルーム
最大10人での利用が可能なオフィスルーム
オフィスルーム(2人部屋)
オフィスルーム(2人部屋)

 今回のリノベーションでは、元の旅館施設の構造躯体を生かしながら、主に内装面でのリノベーションを実施。1階部分の宴会場は12席のコワーキングスペースとなったほか、カウンターを備えたカフェスペースも併設されている。2階部分には、元の客室をリノベーションしたオフィスルーム6室(10人部屋1室、3人部屋1室、2人部屋4室)を設けるほか、簡易宿所としても利用できる畳張りのドミトリー4室、シェアキッチンなども設けている。

簡易宿所にもなるドミトリー
簡易宿所にもなるドミトリー

 さらに、別棟にある浴場は旧温泉旅館の浴場をクリーニングして再利用するほか、浴場に隣接するかたちでホール&畳張りの広間から成る共有スペースを設置。入居事業者らが自然と顔を合わせ、交流できる空間を設けることで、新たなアイデアやコラボレーションなどの創出を促す仕掛けとなっている。

入居するうえでの魅力の1つである天然温泉の浴場
入居するうえでの魅力の1つである天然温泉の浴場

 今回のインキュベーション施設への入居企業には、1社(1団体)あたり最大100万円の進出支援金(市外からの場合)といったインセンティブを付与。また、入居にともない三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)からの移住が発生する場合には、福岡県の移住支援事業による移住支援金も支払われる。

 「古賀市にとってこの施設は、『温泉×新ビジネス』という新たな挑戦への取り組みであり、大都市などの市外からの移住・定住・滞在を促すことにより、持続可能な都市の形成を図ろうという狙いもあります」(田辺市長)。

 現在、公募型プロポーザルによって施設の運営事業者を選定中で、8月中にも運営事業者が決定する見通し。10月ごろの施設オープンを目指している。

浴場に隣接して入居者同士の交流を促す共有スペースも
浴場に隣接して入居者同士の交流を促す共有スペースも

【坂田 憲治】

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