崖っぷちに立たされた韓国の自営業者(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国は自営業者(※)の国であると言っても過言ではない。全就業者の4人のうち1人は自営業者と、その比率はG7平均の2倍以上である。ところが、新型コロナウイルスの影響で甚大なダメージを受けた自営業者は、その数が減少しつつある。一方、ベンチャー企業の起業は増加傾向にあり、韓国では自営業者が減り、ベンチャー企業に就職する人が増えている。今回は新型コロナウイルスで大ピンチに立たされている自営業者を取り上げたい。
コロナ禍で自営業者に甚大な打撃(つづき)
まだ店をたたんでいない自営業者も、苦しい事情はあまり変わらない。韓国統計庁の発表によると、今年6月を基準に、社員を抱えている自営業者は128万人であり、昨年1月の新型コロナウイルスの発生時点と比較して、17万人が減少している。
最低賃金が急激に上昇して、コロナショックで売上高が減少した自営業者は社員を抱えず、自分1人で頑張ることによって、ようやく事業を営んでいる。このように社員を抱えず1人で事業を営んでいる自営業者のなかには、店をたたむと銀行の借入を一括返済し、滞った家賃などを一括で支払わければいけないため、やむを得ず事業を継続している自営業者もあるようだ。
自営業者への政府支援が求められている
厳しい規制は自営業者を犠牲にして、新型コロナウイルスから国民と国家経済を守る措置である。もし、このような一方的な犠牲を自営業者が拒むと、防疫に亀裂が生じる。このような事態が発生して感染が拡大すると、国の経済が被る打撃は想像を絶するため、自営業者にはそれ相応の補償が当然必要になる。
ドイツでは家賃の8割程度を国が補助したり、日本でも6カ月間の家賃を国が補助するなど、自営業者に対する支援策をそれぞれ打ち出している。韓国でも自営業者に一時支援金を出しているが、被害の大きさに比べると何の足しにもならないという意見が多い。
加えて、自営業者は金融機関からの借り入れで現在を凌いでいるが、借り入れの満期が9月になっており、その期間の延長が求められている。一時的に急場をしのぐ対策ではなく、抜本的な対策が必要だという声もある。自営業者は社会を支えている大事なインフラとして認識したうえで、自営業者の自立と生存のために根本的な対策を講じることが求められている。加えて、下手な対応で被害がさらに広がることのないように、韓国政府の適切な対応が期待されている。韓国の将来は、自営業者への対応次第で決まると言っても過言ではない。崖っぷちに立たされている自営業者の今後に注目したい。
(了)
※:就業者を1人以上雇用するか、就業者を雇用せず1人で事業を営んでいる小事業者のことをいう。 ^
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