カカオ創業者、韓国一の富豪に浮上(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国ではこれまで、長者番付の上位はサムスンや現代などの財閥のトップで占められていた。ところが、韓国の国民的メッセンジャーアプリを誕生させたカカオの創業者キム・ボムス氏は純資産135億ドルで、サムスングループの李在鎔副会長(123億ドル)を抜き、韓国一の富豪に上り詰めた。一部報道によると、キム氏はカカオの株価急騰によって今年だけで資産が60億ドルも増加。カカオの株価は今年になって91%も上昇した。
創業者のキム氏は2男3女の3番目として生まれた。兄弟姉妹で大学に進学できたのはキム氏1人だけという貧しい家庭で育った。1986年にソウル大学産業工学科に入学したキム氏は卒業後、「韓国のベンチャー士官学校」と呼ばれるサムスンSDSに入社する。
5年間の在籍後、キム氏は会社に辞表を出し、ハンゲームというベンチャー企業を創業する。立ち上げたゲームビジネスは滑り出しが順調で、サービスを開始してから3カ月目に無料会員数が100万人を上回った。しかし、2000年に、サムスンSDSの同期で韓国のインターネット大手であるNAVER(ネイバー)創業者からの買収提案を受け入れる。両社は合併し、キム氏はNHN(合併後の社名)の共同代表となる。
ところが、その数年後、キム氏はNHNも退職し、カカオトークの前身であるIWILAB(アイウィラボ)を立ち上げ、そこで「カカオトーク」をスタートさせる。今では「カカオトーク」は、韓国人のほとんどの人がコミュニケーションツールとして毎日使うメッセンジャーアプリである。
朝起きるとまず「カカオトーク」に目を通すくらい、韓国人の日常生活に「カカオトーク」は深く浸透している。日本ではLINEに抑えられて、韓国人と関わりのある人以外はあまり使わず、会員数もそれほど伸びていないが、韓国人が駐在している東南アジアでも広く使われている。
メッセンジャーアプリとしてスタートした「カカオトーク」だが、多くの会員数を武器に決済、金融、ゲーム、配車アプリビジネス、ネットショッピング、コンテンツサービスなどへと事業を拡大させている。
カカオの第2四半期(連結)決算は売上高1兆3,522億ウォン、営業利益1,626億ウォンを計上。売上高と営業利益の前年同期比はそれぞれ41.9%増、 66.3%増と急増している。純利益は同117.5%増の3,159億ウォンだった。カカオの時価総額は韓国上場企業全体のなかで4番目となっている。
(つづく)
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