スターバックスは銀行のライバル?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国・現代経済研究院の統計によると、2018年の韓国人の1人あたりのコーヒーの年間消費量は353杯で、世界平均のコーヒーの年間消費量132杯の約2.7倍も多くのコーヒーを飲んでいる。まさに「コーヒー天国」である。
韓国人のコーヒー文化
韓国人にとって、コーヒーは日常生活に深く根差している嗜好品である。モーニングコーヒーで1日を始めて、昼食を食べた後にコーヒーを飲むことが生活習慣として定着している。コーヒーの種類もコーヒーを飲む場所も、時代の流れとともに変遷してきた。スターバックスが韓国に進出する前まで、コーヒーといえば自動販売機で売っていたミックスコーヒー(砂糖とクリームが入っているコーヒー)が一般的であった。ところが、1999年にスターバックスが韓国に進出すると韓国のコーヒー文化は大きく様変わりし、現在のようにアメリカンコーヒー、カフェラテ、エスプレッソなどが楽しまれるようになった。
コーヒーを飲む場所も以前は茶房(ダバン)と言われており、そこでは女性従業員がコーヒーのサービスをしてくれた。しかし、今は自分でコーヒーを注文し、さまざまな種類のコーヒーが楽しめるカフェが主役となっている。
加えて、コーヒーを飲む場所というよりも、勉強をしたり、仕事をしたりする目的でカフェを利用している人がむしろ増えている。韓国にはカフェが極めて多い。カフェは休憩するための空間として根付き始め、テイクアウトのコーヒー文化を広める震源地にもなり、韓国でコーヒーショップ売上高の急増を引き起こした。韓国のカフェでは、コーヒーの値段は昼食の値段よりも高い場合も多いが、値段の高さに違和感もなくコーヒーが飲まれるほど、コーヒーは韓国人の日常生活の一部となっている。
19世紀のフランスのパリでは、カフェに芸術家らが集まり、会話を交わすことによって、カフェは芸術の発展に寄与したとされる。18世紀の初頭のイギリスでも、カフェはニュースの発信地としての役割をはたし、情報交換の場、新しいニュースに接する場所であった。一方、韓国のカフェは韓国人の生活の一部として受け入れられ、韓国ではコーヒー専門店の市場成長が著しい。コーヒーチェーン店舗数は2014年に1万1,000店舗であったが、19年には1万5,000店舗と14年比で43.8%も増加している。
国際市場調査会社のイギリスのユーロモニター・インターナショナルの分析(07年~18年展望)によると、カフェで提供されるコーヒーの年間売上額が世界で最も多い国は米国(261億ドル、約2兆8,673億円相当)で、2位の中国(51億ドル、約5,602億円相当)に次いで韓国が3位であった。
韓国のコーヒーチェーン店のなかでは、スターバックスが群を抜いて1位であり、1999年に韓国に1号店を出店して以来、すでに店舗数は1,500店を上回る。ユーロモニター・インターナショナルによると、韓国のコーヒーチェーン店の市場規模は約5兆4,000億ウォン(約5,105億円)で、米国、中国に次いで3位となっている。
(つづく)
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