2024年12月24日( 火 )

九州地銀(17行)の2022年3月期 第1四半期決算を検証する (5)

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 【表1】は、九州地銀(FG・FH含む)の2022年3月期第1四半期(6月期)の預貸率の順位である。
~この表から見えるもの~
◆九州地銀17行の21年6月期の預貸率の平均は77.6%。平均を上回っているのは熊本銀行など7行となっている。
◆預貸率の1位は、ふくおかFG傘下の熊本銀行で114.2%。貸出金1兆8,513億円に対し、譲渡性預金(NCD)を含む預金は1兆6,215億円。前年の預貸率111.4%より2.8%の上昇。
・2位は西日本FH傘下の長崎銀行で101.6%。貸出金2,657億円に対し、預金は2,614億円。前年の110.9%より▲9.3%と大きく低下している。
・3位は山口FG傘下の北九州銀行で100.4%。貸出金1兆2,544億円に対し、預金は1兆2,493億円。前年は101.2%。
・この3行はオーバーローンが続いているが、推移から見ると長崎銀行および北九州銀行の2行は近々解消されることになりそうだ。また3行いずれも金融グループ傘下行であり、資金調達に問題はない。
◆預貸率80%台は3行
・4位の福岡銀行は85.5%。貸出金11兆1,263億円に対し、預金は13兆99億円。前年は97.1%。
・5位の西日本シティ銀行は85.1%。貸出金8兆2,082億円に対し、預金は9兆6,430億円。前年は89.0%。
・6位の鹿児島銀行は80.4%。貸出金3兆8,336億円に対し、預金は4兆7,658億円。前年は87.8%。
◆預貸率70%台は9行
・7位は佐賀共栄銀行で78.9%。貸出金1,983億円に対し、預金は2,514億円。前年の76.0%より2.9%上昇している。
・8位は福岡中央銀行で76.1%。貸出金4,302億円に対し、預金は5,654億円。前年は78.5%。
・9位は宮崎銀行で73.0%。貸出金2兆1,606億円に対し、預金は2兆9,593億円。前年は79.5%。
・10位は肥後銀行で72.9%。貸出金3兆8,718億円に対し、預金は5兆3,083億円。前年は78.3%。
・11位は佐賀銀行で72.8%。貸出金2兆356億円に対し、預金は2兆7,976億円。前年は77.1%。
・12位は南日本銀行で72.2%。貸出金5,866億円に対し、預金は8,128億円。前年は75.2%。
・13位は豊和銀行で71.9%。貸出金4,144億円に対し、預金は5,765億円。前年は76.2%。
・14位は十八親和銀行で71.4%。貸出金4兆87億円に対し、預金は5兆6,111億円。前年は78.5%。
◆預貸率60%台以下は3行
・15位は宮崎太陽銀行で65.2%。貸出金5,215億円に対し、預金は8,001億円。前年は74.2%。
・16位は筑邦銀行で64.7%。貸出金5,326億円に対し、預金は8,227億円。前年は69.7%。
・17位は大分銀行で56.5%。貸出金1兆9,330億円に対し、預金は3兆4,200億円。前年は60.4%だったが再び50%台に下げており、預金は増加しても、貸出金が伸びない厳しい状況にあるようだ。

 【表2】は、九州地銀の金融グループ(3社)の2022年3月期 第1四半期(6月期)の預貸率の順位である。
~この表から見えるもの~
◆1位は西日本FHで85.4%。貸出金8兆4,328億円に対し、預金は9兆8,730億円。前年の預貸率86.6%より▲1.2%と下げている。
・2位はふくおかFGで83.6%。貸出金16兆8,376億円に対し、預金は20兆1,461億円。前年の預貸率89.8%より▲6.2%と大きく下げている。
・3位は九州FGで75.9%。貸出金7兆6,367億円に対し、預金は10兆591億円。前年の預貸率86.3%より▲3.1%。金融グループ3社とも下げている。

<まとめ>
 九州地銀17行の21年6月期決算で、預貸率が上昇したのは熊本銀行と佐賀共栄銀行の2行だけとなっている。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、預貸率からも、地域における資金需要は厳しい状況にあることが読み取れるのではないだろうか。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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