2024年09月29日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~サラリーマンの間で「ハイブリッドワーク」が人気

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 朝9時から夜9時まで、週に6日間働く「996」や、1週目に5日間働いて2週目に6日間働く「大小週」などが廃止されていることを背景に、中国では職場環境や仕事のスタイル、ひいては企業のビジネススタイルや人材ニーズなどにも大きな変化が生じるようになるとみられている。

 ビジネス特化型SNSのLinkedIn(リンクトイン)が9月1日に発表した調査研究報告によると、中国企業の45%が現在テレワークを導入しつつある。そして、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」の導入が進んでいることを背景に、各ポストに必要なスキルにも変化が生じている。

中国企業の45%がテレワークを導入

テレワーク イメージ リンクトインの調査研究報告によると、新型コロナウイルス感染症や世界的な環境の変化の影響を受け、作業のデジタル化、テレワーク化が中国企業にとって必須の選択となっており、ハイブリッドワークが常態化しつつある。

 統計によると、中国企業の45%が現在テレワークを導入しつつあり、アジア太平洋地域の平均水準の41%を上回った。アジア太平洋地域の企業の多くは、週に3日出勤し、2日はテレワークというのがベストな組み合わせと考えていた。

 ハイブリッドワークは中国のオフィスワーカーの間で好評だが、それにともなう不安もあるようだ。調査研究の統計によると、回答者の57%がハイブリッドワークスタイルを好むとしているが、すべての作業を自宅で行うことを望むとする回答者は11%にとどまった。

 テレワークにはメリットもたくさんあるが、パーフェクトというわけではない。たとえば、オフィスワーカーの半数以上が「自宅でずっと仕事をしていると、出勤して働く楽しみを得られなくなるのではないか」と心配していた。また、オフィスワーカーの68%は「出勤して働く時間が長いほうが、上司に気に入ってもらえる可能性が大きいのではないか」と考え、それが理由で回答者の半数以上が「テレワークでは出世にマイナスの影響がおよぶのでは」と心配していた。

 報告によると、テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークが、各メリットとデメリットの間でバランスを取る効果的な解決策の1つとなっている。しかし、より効果的なハイブリッドワークを実現するには、技術的サポートがとくに重要になる。

ハイブリッドワーク導入で各ポストに必要なスキルにも変化

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 オフィスワークがデジタル化されるケースが増え、働く人もオンラインとオフラインをスムーズに切り替えるワークスタイルに慣れる必要が生じている。そのため、働く人にはより高いスキルが求められるようになっており、とくに人工知能技術とハイブリッドワークの一歩踏み込んだ融合が、多くのポストに求められるスキルや人材募集の基準に、かなりの程度影響を与えるようになっている。

 世界の一流企業は現在、「スキル」を重要視するようになっている。リンクトインが今年、アジア太平洋地域で実施した調査研究によると、企業の79%が人材募集の際、「スキルを重視する」と答え、スキルは受けた教育の程度や仕事の経験よりも重視される最重要要素となっている。

 リンクトインの陸堅・中国総裁は、「異なる国の政府がヒューマン・キャピタル関連の課題に直面している。たとえば、投資誘致や雇用拡大、人材の引き留めなどの面だ。それら課題について、当社は異なる国・地域で人々が就職の機会を見つけたり、企業がチャンスをつかんで成長の実現をサポートしたりできるよう、それ相応の解決策を提供することができる」としている。

テレワーク、回答者の52%が作業効率向上

 今年は感染症により多くの人がテレワークを体験した。この働き方がリラックスできてやりやすいと感じる人もいれば、テレワークは想像するほど理想的なものではないと不満を漏らす人もいる。中国青年報社社会調査センターは問巻網と共同で2,002人を対象に調査を行った結果、「テレワークの経験がある」は86%に上った。テレワークで効率が「上がった」は52%、「下がった」は19%。「テレワークは未来のトレンドになる」は64%。

 テレワークの主なメリットは、「より自主的でフレキシブル」(69%)と「通勤時間短縮」(63%)。次いで、「交通渋滞の解消にプラス、省エネ・排ガス減少を促進」(51%)、「仕事と生活のバランスを促進」(50%)、「企業が地域と国境を越えて、より多くのハイレベル人材を集められる」(43%)、「企業が賃料を節約し、組織の柔軟性を高められる」(30%)となっている。


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