2024年11月25日( 月 )

ファミマ、PB「お母さん食堂」廃止し、「ファミマル」に刷新~その是非をめぐり、ネットは大炎上(4)

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 (株)ファミリーマートは、自主企画のプライベートブランド(PB)「お母さん食堂」などを廃止し、「ファミマル」に刷新する。その是非をめぐり、ネットは大炎上。テレビはワイドショーで特集を組むほどの騒ぎになった。ファミマブランド再生のためにスカウトされた、足立光最高マーケティング責任者(CMO)にとって、想定外の出来事だったようだ。

ファミマ、「100円均一」品も売る

ファミリーマート イメージ

 ファミマはPB「ファミリーマートコレクション」で20年11月から100円均一の日用品の展開を始めた。コロナ下で自炊する人が増えたため、食器洗い用のスポンジや水切りネットなどキッチン用品を中心に10種類の商品をそろえた。

 ファミマの売上高の半分は20~50代の男性客によるものとされ、女性客の取り込みが課題となっていた。加えて、コンビニは定額販売が原則で、ドラッグストアやスーパーと比べて割高感が強い。そこでわかりやすい価格を打ち出せる商品をそろえ、コンビニを使う機会が少なかった主婦層に訴求することにした。

 そしてファミマは10月19日から、新PB「ファミマル」の展開を開始する。総菜や冷凍食品、日配品のPB「お母さん食堂」と、加工食品や生活雑貨などドライグロサリーのPB「ファミリーマートコレクション」、計約660品目を統合して、新PBに順次置き換えていく。また、弁当、おにぎり、サンドイッチ、麺類などの中食商品もラインナップに加え、22年2月末までに約810品目を展開する。

 欠品が生じた「クリスピーチキン(ハバネロホット)」も同日、復活販売した。

 ファミマの初代CMOに就いて1年。足立光氏は一気に勝負に出た。

最大の気がかりは、足立氏と伊藤忠の関係

 ファミマの改革に当たって最大の気がかりは、足立氏と伊藤忠商事との関係だ。足立氏は、ファミマの社長だった澤田貴司氏からオファーを受けた。

 〈「売上でもブランドイメージでも、コンビニ3社の中で圧倒的最下位と大変」「はっきりもの言う性格だから、ばりばりの日本の大企業に行くのはやめたほうがいいと、いろんな人に言われた」〉(前出、東洋経済オンライン)

    20年10月に、足立氏がファミマの初代CMOに就任した直後、ファミマは伊藤忠の完全子会社になった。21年3月、足立氏をスカウトした澤田貴司氏は社長を辞め、副会長に退き、伊藤忠が新社長に細見研介氏を送り込んだ。

 伊藤忠が事業拡大を優先するあまりファミマの意向が尊重されず、両者間に軋轢が生じると見る向きが多い。

 外部からスカウトされてきたプロのマーケターは経営トップとの信頼関係に基づいて腕を振るえる。”よそ者”のマーケターは経営トップが後ろ盾になることで成り立つ。多くのマーケターが経営トップの交代と同時に会社を去るのは、そのためだ。

 足立氏の手腕を買っていた澤田氏は、副会長という中二階ポストに棚上げされた。早晩、ファミマを去ることになるだろう。

 入社前「ファミマに行くのはやめたほうが良い」と忠告された足立氏が、プロのマーケターとして存分に腕を振るえることができるかは、伊藤忠出身の細見社長との信頼関係を築くことができるかどうかにかかっている。

(了)

【森村 和男】

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