目線は「6代目」の時代へ 事業承継に向けた組織づくり
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有澤建設(株) 代表取締役社長 木下 英資 氏
社長就任から約10年
「有澤建設を『会社』にすることにこだわってきた」――有澤建設(株)の5代目社長・木下英資氏はそう話す。ワンマン社長がいなくなったら、会社が回らなくなるような組織であってはならない。この思いを胸に 2010年の社長就任以来、人材育成を目的に社内の権限移譲を進めてきた。創業105年を迎えた有澤建設は3つのモットーを掲げる。「品質へのこだわり」「安心・安全へのこだわり」「地元へのこだわり」だ――これらのモットーは社員にも根付いているようで、良質な建物を提供するため、少しの妥協も許さないというプライドをもって、顧客の納得がいくまでとことん付き合っており、こういった「建物のかかりつけ医」のようなスタンスは、顧客から高く評価されている。有澤建設が「会社」として評価されているということだろう。
次期社長は「社内から」
「20~30年後の道筋をつけるのが私の役目。そのために、社内体制を整え、強くするために権限移譲を進めてきた。有澤建設を継続発展させるためにも、次期社長は社内から選ぶ予定」と木下社長は話す。
10年8月期に18億円だった売上高は、13年8月期には28億円、16年8月期には56億円にまで増加。さらに、18年8月期は大型物件が重なった影響もあり売上高は82億円を計上。20年8月期は68億円、21年8月期は70億円と安定して50億円以上の売上高を計上する体制となった。「市況に恵まれた部分も大きいが、社内体制が整ってきたことは実感している」(木下社長)といい、「ある程度、福岡でも認知されるようになってきた。次は100億円という壁を超えていきたい。次の世代にどうバトンタッチしていくべきかこの10年考え続けてきたが、6代目社長には有澤建設をもう一皮剥けさせてくれる人材を選びたい」と続けた。
SDGsは社員先導で
会社組織として持続可能性を追求する有澤建設だが、事業としても持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいる。地域の課題を考えた高校生が、地域に根付いた企業を訪問し解決策を探すという、探求型フィールドスタディが高校の授業として行われているが、有澤建設は受け入れ企業として20年から参加。21年は地元の高校7校を受け入れ、建設業のサプライチェーンに関する座学だけでなく、実際の工事現場を現場監督の解説付きで見学するなどの取り組みを行っている。ほかにも、福岡女子大学と提携した産学連携プロジェクトや本社で使用する電力を100%自然由来エネルギーに切り替えるなど、地道なSDGs推進活動を続けてきた。
事業規模を拡大させ、安定した基盤を築くため、組織づくりを進めてきた。そして、それらを社会課題の解決に生かすためにSDGsに積極的に取り組んできた。社内から選ばれる次期社長の時代、有澤建設は組織として事業としてどのように成長しているのか、一皮むけた姿に期待したい。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:木下 英資
所在地:福岡市博多区博多駅南4-4-12
設 立:1967年9月
資本金:9,000万円
TEL:092-433-1811
URL:https://arisawa.jp
<プロフィール>
木下 英資(きのした えいすけ)
1971年福岡県生まれ。95年に早稲田大学を卒業後、西日本旅客鉄道(株)(JR西日本)に入社。2000年10月に有澤建設(株)に取締役社長室長として入社。05年に常務取締役などを経て、10年10月に代表取締役社長に就任した。趣味はゴルフ。法人名
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