2024年11月22日( 金 )

非民主主義国家に転落する国家の悲劇

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 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介している。今回は民主主義国家を謳う日本が次第と民主主義から逸脱していく経過を辿る4月24日のブログを紹介する。


 この国の民主主義は破壊されている。日本は民主主義とは名ばかりの非民主国家になってしまっている。昨年4月に消費税の税率が8%に引き上げられたが、これを法定化したのは野田佳彦政権である。

 野田佳彦氏は2009年8月の総選挙の際に、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と絶叫した、その本人である。その人物が、シロアリを一匹も退治しないまま、消費税増税に突き進んだ。ここから日本の民主主義は根底から崩壊することになった。
 2010年の沖縄知事選で、仲井真弘多氏は普天間飛行場の移設先を県外に求めることを公約とした。この仲井真氏が任期満了を目前に控えた2013年12月に、辺野古海岸の埋め立て申請を承認して辺野古米軍基地建設にゴーサインを出した。
 沖縄では、2010年と2014年の知事選、名護市長選、名護市議選のすべてにおいて、辺野古米軍基地建設反対の住民意思が明確に示された。さらに、2013年の参院選、2014年の衆院選でも、辺野古米軍基地建設反対の意思が明示された。
 このなかで、安倍晋三政権は、辺野古米軍基地建設を「粛々と」推進している。
 そして、2012年12月の総選挙。安倍晋三自民党は、「ウソつかない!TPP断固反対!ブレない!日本を耕す!!自民党」のポスターを貼り巡らせて選挙を戦った。
 その自民党代表の安倍晋三氏が、選挙から3カ月後の2013年3月15日、TPP交渉に参加することを決めた。民主主義を根底から破壊する暴挙である。

 安倍首相は、そもそも、日本を民主主義国家と考えていないのだろう。安倍晋三自民党は、総選挙に際して、TPPについて「6項目」の公約を明示した。その公約がこれだ。

 わが党は、TPP交渉参加の判断基準を明確に示します。

TPP交渉参加の判断基準
1 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3 国民皆保険制度を守る。
4 食の安全安心の基準を守る。
5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

 安倍政権は選挙の際に「TPP断固反対」と主張していたのに、TPP交渉に参加することを決め、さらに、主権者に明示した6項目の約束を、ことごとく踏みにじろうとしている。これを民主主義とは言わない。日本は非民主主義国家に転落しているのである。

 安倍晋三氏は4月下旬に訪米して、議会の上下両院合同会議でスピーチを行う。
 歴史修正主義者には議会での演説機会を与えて来なかった米国議会が、安倍氏にスピーチの機会を与えるのは魂胆があるからだ。
 日本がTPP交渉で完全譲歩することと引き替えに、議会でのスピーチ機会が与えられたのである。日本の首相がこのような行動を取るなら、国益も国民の利益もすべてが吹き飛ぶ。これを「国賊」と呼ぶのである。

 TPPは、大資本の大資本による大資本のための制度でしかない。日本の一般国民は、TPPによって甚大な被害を蒙る。このような暴挙を許してよいわけがないのである。

※つづきは「植草一秀の『知られざる真実』」第1131号「非民主主義国家に転落する国家の悲劇」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

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