名護市議が告発「名護版モリカケ事件」(不正入札疑惑)(前)
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「ここが名護消防庁舎跡地(約5,000m2)ですが、いまだに草がぼうぼうと生えている状態で、ホテル建設着工の見通しが立っていません。公募型プロポーザル(提案入札)で一億三千万円も高い買取価格をつけた業者が選ばれず、市長の親族会社の子会社を含む企業グループに売却された。何らかの政治的圧力が働いた可能性があります」
こう語るのは、東恩納琢磨・名護市議。市所有の一等地が大和ハウス工業沖縄支店とアベストコーポレーションの共同企業体(JV)に2019年4月に売却された後、渡具知武豊市長の親族会社「(株)丸政工務店」(金武町)の子会社「(有)サーバント」に転売(所有権継承)されたというのだ。
モリカケ事件では安倍晋三元首相の「お友達」だった籠池夫妻や加計孝太郎理事長が優遇されたのではないかと追及されたが、名護市でも市長親族会社が特別扱いをされたのではないかという入札疑惑が浮上した。まさに“名護版モリカケ事件”と呼ぶのがぴったりなのだ。東恩納市議はこう続けた。
「市長の後援会『とぐち武豊後援会』の会計責任者が市長の姉で、その旦那(市長の義兄)が建設会社『丸政工務店』の執行役員です。このことは12月9日の市議会で質問、市長は認めました。しかも『丸政工務店』は4年ほど前に自民党北部支部に献金もしていた。この市長親族会社の子会社『サーバント』が、所有権継承で市有地を買い取ったのです」
登記簿を見ると、たしかに「丸政工務店」の代表取締役と「サーバント」の代表取締役は同一人物だった。そして子会社である「サーバント」は、丸政工務店社員の自宅の一部を賃借した民家が所在地で、常勤者不在であることも市議会での追及で明らかになっていた。「実態の乏しいペーパーカンパニーのようなものではないか」(東恩納市議)と疑われるのはこのためだ。
たしかに、サーバントの所在地を訪れると、民家にサーバントの看板が立てかけられているだけ。こんな会社に市所有の一等地が一億円以上も安値で売却されたことを知れば、誰もが“名護版モリカケ事件”と疑っても不思議ではないだろう。
なぜ、「大和ハウス・アベストJV」よりも一億三千万円も高い五億五万円の買取価格を提示した「(株)ピース企画」が選ばれなかったのか。今回の跡地売却で採用された公募型プロポーザルは、価格だけではなく、地域貢献度などの提案内容にも点数がつけられる総合的評価方式だ。高値をつけたピース企画が選ばれなかったのは、安値をつけた大和ハウス・アベストJVの提案内容が高評価だったためだが、その評価点数一覧表は公表されておらず、どこが優れていたのかを具体的に知ることはできないのだ。
しかもピース企画は名護市内でもホテル建設の実績がある企業。所有権を市長親族会社に譲った大和ハウス・アベストJVではなく、ピース企画を選んでいたら土地を高値で買い取ってもらえたうえに、ホテル建設計画も早く進んでいた可能性は十分にあると考えられる。
(つづく)
【ジャーナリスト/横田 一】
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