2024年12月23日( 月 )

メタバースブームのなか、注目集まるVRデバイス(前)

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劉 明鎬 氏

メタバースとは何か

HMD イメージ    コロナ禍のなか、3次元の仮想世界「メタバース」が急激に盛り上がりつつある。「メタバース」は技術革新や産業革命という次元を超え、人類のライフスタイルを一変させる可能性をも秘めている。

 「メタバース」とは「超える」(meta)と「宇宙」(universe)を組み合わせた造語で、インターネット上に構築される多くの人々が参加する仮想世界のこと。そこではユーザー同士のコミュニケーションはもちろん、経済活動が営まれたりする。要するに「メタバース」は、コンピューティングパワーや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)など没入感を高める先端テクノロジーを使って生み出されるデジタル世界である。

 既存の多人数参加のオンラインゲームやかつての「Second Life」なども同じコンセプトではあったが、今回の「メタバース」は、現実世界とも密接につながっている仮想世界で、コロナ禍の進展とともに急浮上している。

 「メタバース」というワードは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が社名を「メタ(Meta)」に変更し、仮想世界への本格的な進出計画を発表したことで一気に広まっている。また、ビッグ・テック企業が「メタバース」を次世代の成長エンジンとして捉え、こぞって参入している分野でもある。

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 「メタバース」の世界では仮想世界の〝私“が現実世界の〝私”の代わりとなる。これを「アバター」という。仮想世界では自分の分身であるアバターが現実世界の人間のように他人とコミュニケーションを取ったり、経済活動を営んだりしながら、現実世界とつながった新しい世界を創造していく。信用調査会社であるストラテジー・アナリティクスによると、「メタバース」の世界市場規模は2019年が464億ドル、それが2030年には1兆5,000億ドルと30倍以上成長にまですると見込まれている。

再び注目が集まっているVRデバイス

 新型コロナウイルス感染拡大でデジタル化、非対面化が加速している。そのような状況下で次世代のプラットフォームとして期待されている「メタバース」だが、それを支える要素技術の1つであるVRが再び注目を集めている。

 VRとは、Virtual Realityの略で「仮想現実」を意味する言葉で、スマートフォンや専用のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使って圧倒的な没入感を得られる疑似体験を指している。消費者向けVRアプリの主なものとしては、ゲームやギャンブル、スポーツ観戦や音楽イベントへの参加、バーチャルショッピング、レジャーなどがあげられる。

 VRは以前から爆発的成長が見込まれていたものの、意外に伸び悩んでいた。ところが、新しいデジタルトレンドとして「メタバース」が急浮上することによって、VRデバイス産業もともに成長していくことが予想されている。VRデバイスの市場規模は、2030年に600億ドル(約6兆6,000億円)、2040年までに2,500億ドル(約27兆5,000億円)以上へと成長が予想されている。

(つづく)

(後)

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