2024年12月22日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~政治局会議から見る2022年の中国経済動向【特集「2022年中国経済の展望」(1)】(後)

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消費の回復

 政府の発表では、「内需の拡大に取り組み、引き続き消費の回復を促す」とされている。2022年は、新型コロナウイルスの影響が大きい観光業やサービス業については楽観視しかねるが、不動産が安定していけば雇用も内需も消費も問題ではなくなる。

 この点は政府も計算済みであり、以前も不動産規制策を実施した際に、消費について特定分野を対象に支援策を講じていた。昨年は「新たな都市化による消費の呼び起こし」、今年7月は「エコカーの早期普及」といった感じである。

 今回はこれにも触れられず、「内需の拡大に取り組み、引き続き消費の回復を促す」との表現にとどめている。不動産への支援策を講じる以上、個人消費の回復は大きな問題ではないからである。

地域の成長策

 政府の発表では、「改革開放政策で一段と成長を進め、地域の主な取り組みや協調的な成長策を効率よく推進し、自由化につながる総合的な改革に取り組み、ハイレベルな対外開放を進める」とされている。

 地域の成長とは、国内では広東省・香港・マカオのグレーターベイエリア、長江デルタの一体化、四川省の成都と重慶の経済圏構想などであり、対外的にはRCEP=東アジア地域包括的経済連携である。

 RCEPは22年にはすべての加盟国で認可され、実行されるだろう。これによりASEANと東アジア各国の経済的な結びつきが一段と強まることになり、中国はこれをきっかけに国内でより有効な手はずを整えて、参入条件がさらに高いTPPの加入へ下地づくりをする必要がある。

出産・育児関連

 政府の発表では、「新たな出産・育児支援策の効果を見出す」とされている。出生率の大幅な低下を食い止めるには、補助金の提供や貧困地域での出生率向上へ経済援助を行うなど、支援策について国が新たな指針を打ち出すことが必要である。

 この政策は現在、四川省攀枝花や甘粛省臨沢県などで先行実施されており、22年にはさらに多くの貧困地域を加え、「効果を見出す」ようにと明記されている。

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 中国にとって、人口問題は成長を永続させるうえで解決すべき大問題であり、政府としても十分に取り組んでいる。

まとめ

 以上、中国政府の発表内容についてまとめると、22年の経済政策はかなり温かみのあるものとなる。ここ数年は経済構造の変化により従来型の業界がかなり痛い目に遭ってきたが、22年は打って変わって構造改革の動きが一服し、ブレーキをかけるような策は講じないだろう。

 さらなる通貨緩和政策が実施され、また不動産政策も適度に修正されて、地方政府の財政もある程度回復するだろう。しかし、経済全体ではやはり厳しい状態であり、とくにコロナによる経済的な後遺症や米中間のさらなる対立もあり、企業の経営が一段と厳しさを増し、失業者も増えていくだろう。

(了)


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