2024年12月22日( 日 )

半導体製造装置分野で世界1位を目指す蘭ASML社(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

 半導体不足は、多くの業界にとって頭痛の種で、確保が喫緊の課題となっている。製品需要が急増するなか、メーカーは自社製品に使用する十分な数の半導体を確保できていない。そうした状況なので、半導体を製造するファウンドリ事業の拡大が続き、ファウンドリ事業に欠かせない露光装置市場も活況を呈している。次世代露光装置「極端紫外線(EUV)」世界唯一の製造メーカー・ASMLは、第5世代移動通信システム(5G)、自動運転、人工知能などの普及を追い風とした半導体ニーズの微細化にともない、その業績を伸ばしつつある。

半導体製造装置分野で世界1位目指す

半導体 イメージ    ASMLはTSMCとサムスン電子に2020年に30台、21年に43台納品したと推定されている。同社の業績発表によると、21年第4四半期の売上高は50億ユーロとアナリスト予想の51億ユーロをわずかに下回ったものの、利益率は54.2%と予想より高水準だった。昨年の年間売上高は186億ユーロで、営業利益は59億ユーロ。前年対比ではそれぞれ33%と66%伸長している。

 同社の営業利益率は50%を上回っている、業界1位のアプライドマテリアルズと業界3位のラムリサーチの利益率が30%前後であることを考えると、いかに高い利益率であるか分かる。露光装置だけでさまざまな製造装置を製造しているアプライドマテリアルズと肩を並べるほどなので、今後、同社の成長によっては製造分野1位の座にのぼりつめることも夢ではなさそうだ。

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 同社はインテル社からさらに微細なパターンを刻み込むための高NA(開口数)を有する装置を受注したと発表。インテルはEUV導入においては後れを取っているものの、挽回をするため他社に先駆けて最先端の露光装置を導入することになった。この装置は25年から量産化される計画だ。

 高NAを有する露光装置は既存の装置に比べてレンズや反射鏡のサイズを大きくし、NAを0.33から0.55に高めたもので、高NAの次世代EUVは1台300億円以上とされている。このように最先端のEUV関連装置は高額で、半導体メーカーにとっては投資負担が大きい。そのため、一部の専門家からは「長期的にみると、どこまでEUVの導入拡大が続くか不透明な面もあり、ASMLの成長がどこまで続くかわからない」とする声もあがっており、今後も市場の動向を見守っていく必要があるだろう。

(了)

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