2024年11月22日( 金 )

どう立ち向かう?安倍政権の憲法破壊行為

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 政治経済学者の植草一秀氏は5月15日、民主主義の危機を「政治理念、哲学」「多数決原理」「主権者の生命、自由、幸福追求の権利」という三つの断面で指摘。これをもたらす安倍政権から政治の主導権をオールジャパンの手に取り戻すべきと自身のブログで提唱している。


 安倍晋三政権は5月14日、安全保障法制の関連法案を閣議決定した。現状の国会は、議会多数派による決定のセレモニーの場に過ぎない。政権が日本国憲法に違反する法整備を進めても議会がこれを容認すれば、それが現実の法律として成立してしまう。
 こうした政治権力の暴走に対して社会の木鐸として警鐘を鳴らすべき存在が本来のメディアのあり方だが、メディアが権力の御用機関に成り下がる現状ではメディアの役割にも期待できない。むしろ、メディアが権力の御用機関として権力の暴走を後押しする役割を示している。日本の民主主義は文字通り危機に直面しているのである。

 私は日本の民主主義の危機を三つの断面から指摘している。
 第一は政治理念、哲学の危機である。民主主義の基本は、本来、「主権者のための政治」である。ところが、日本の現実は、「既得権勢力のための政治」になってしまっている。「国民の生活が第一」は、本来の政治のあり方の理念、哲学を示す方針であったが、鳩山由紀夫政権が潰されて以降、政治の基本が「米官業の利益が第一」の政治に転落してしまった。
 安倍晋三政治の基本は「戦争と弱肉強食」である。日本国憲法は、国権の発動たる戦争、武力による威嚇、武力の行使を、国際紛争を解決するための手段として永久に放棄することを明記している。
 集団的自衛権の行使は、国際紛争を解決するための手段として、国権の発動たる戦争、武力による威嚇、武力の行使を認めるものであり、日本国憲法に違反していることは明白である。
 このような暴挙が、白日堂々と遂行されているところに、日本の民主主義の危機の深刻さが鮮明に表れている。国会を数で押さえ、メディアを支配してしまえば、何をやっても構わないと言うのが、いまの安倍晋三氏の行動様式であり、日本の民主主義は消滅したと言って過言ではないだろう。

 民主主義の危機、第二の断面は、多数決原理の危機である。安倍政権は我が物顔の振る舞いで、やりたい放題を実行しているが、国民の多数が安倍政権を支持しているわけではない。昨年12月の総選挙で、安倍政権与党に投票した主権者は、主権者全体の24.7%に過ぎなかった(比例代表得票率)。自民党単独では、わずかに17.4%だった。主権者の4分の1にしか直接支持されていないのが安倍晋三政権の現実である。
 主権者全体の4分の1の支持しか得ていないのに国会多数議席を占有し、やりたい放題を展開する状況が生まれてしまっている原因は、主権者の支持を広く集めることのできる、本格野党が不在になってしまっているためである。
 責任は主権者自身と、主権者の意思を正面から受け止めることのできない野党陣営の行動にある。このなかで、共産党だけが安倍政権への対峙の姿勢を鮮明に示し、党勢を拡大させているが、共産党が自民党に代わる政権を担える勢力に拡張を続けるとの見通しは存在しない。
 共産党を含めて、安倍政権に対峙する勢力の結集を図ることができれば、情勢は一変するはずである。その変化を早急に実現しなければならない。

 日本の民主主義の危機、第三の断面は、主権者の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がもたらされていることである。
 憲法破壊、原発稼働、TPP参加は、明らかに、主権者の「人格権」を侵害する憲法違反行為である。私たちは、この危機を直視して、危機を打開する方策を講じなければならない。具体的には、憲法擁護、原発撤廃、TPP不参加を求める主権者の連帯運動を展開することである。安倍政権が推進する「戦争と弱肉強食」に対して「平和と共生」の大方針を掲げ、ここに「オールジャパン」の力を結集するのである。そのための運動をネット上で始動させる予定である。

※続きはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1146号「安倍政権の憲法破壊行為にどう立ち向かうか」で。


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