2024年12月21日( 土 )

「三重苦」に苦悶する韓国経済(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

米国、インフレ率が最高水準に

市場 イメージ 米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月25~26日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、今年3月に利上げに踏み切ることを示唆した。また、FRBは昨年12月のFOMCでテーパリングの終了時期を前倒することを決定している。前倒しの理由は、物価上昇がFRBの想定を超えて加速していると判断したため。原油高、人材不足による人件費の高騰、原材料価格の値上がりなどで、インフレ率が40年ぶりに最高水準に達しており、早期に手を打たないといけないからだ。

 このような状況下、金融市場は、FRBが年内に少なくとも4回の利上げを実施するのではないかと予想している。FOMCが会合のたびに利上げして、年6,7回の利上げを行う可能性も排除できないし、一回に0.5%ずつ利上げすることも想定されるという。FRBの利上げなど金融の引き締めが速いペースで進むと、韓国銀行も利上げせざるを得ない状況に追い込まれてしまう。

 今月14日、韓国銀行は基準金利を0.75%から0.25%利上げして1%にした。懸念されるのは利上げペースが速くなった場合、株式市場、不動産市場などに影響を与え、金融不安に陥る恐れがあることである。米国の利上げは新興国市場から米国市場への資金の還流を意味し、株価の下落、自国通貨安など、新興国経済を低迷させる要因となる。ところが、利上げよりもっと怖いのは量的引き締めを実施することである。

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 FRBのバランスシートは現在9兆ドル規模に達しているが、年内にバランスシートの縮小に乗り出すことになったら、市場に与えるショックは計り知れない。しかし、FRBは金融市場にショックを与えてでもインフレを抑制するのが優先だと判断しているようだ。

韓国株式市場が動揺

 米国をはじめイギリス、カナダ、オーストラリアで金融の引き締めが進むと予想されることで、世界の主要株式市場で株価が暴落したり、国債の価格が下落したりするなど、資産バブルが崩壊し始めた。

 最近、韓国株式市場において外国人投資家による売り越し傾向が続いており、1日平均2,000億ウォンほど韓国株を売っていたのだが、FOMC会合翌日の27日には約1兆7,000億ウォンの韓国株が売られた。この日の売却金額を含めて直近6日間の売却金額は3兆3,124億ウォンに達した。このあおりを受け、韓国株式市場(KOSPI)は3.5%も暴落し、14カ月ぶりの最安値を更新。韓国株を大量に売った外国人投資家はドルを買って本国に送金することになるので、株価の下落だけでなく、ウォン安ももたらし、株式、ウォン、債権が軒並み安くなるトリプル安が発生した。また、国債3年物の金利も2.217%となり、3年7カ月ぶりの最高値を記録した。

(つづく)

(後)

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