米メタ社、株価大幅下落~メタバース事業が足かせ?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏メタバースに事業転換
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の代表格ともいえるFacebook(現・Meta)は成長の限界に達したのだろうか。Facebookの成長スピードはすさまじく、巨大IT企業へと成長させた。ところが、若い世代を中心とした「フェイスブック離れ」が起きたため、昨年後半から若い世代を引き戻す戦略として従来のソーシャルネットワーク事業からメタバース事業へと大胆な事業転換を図った。
メタバースとは、インターネット上に構築される3次元の仮想空間を指す。Facebookは2021年10月に社名を「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」に変更し、本格的にメタバース事業に取り組んでいる。また、巨大IT企業だけでなく、多くのスタートアップ企業も多様な成長機会を見出すため、メタバース事業に参入している。しかし、メタバースのようなプラットフォーム事業には5~10年間の先行投資が必要であり、収益はその後、期待できるとされている。
FacebookはSNS事業の収益性が悪くなったことを挽回する方法として、新しいメタバース事業への転換をはかったため、メタバース事業が同社の成長に足かせになるのではないかと業界では懸念されている。メタバースへの投資額が膨らんでいる一方、収益の確保はまだ先。加えて若い世代のフェイスブック離れが進んでおり、同社の成長に暗い影を落としている。
株価値下がりが止まらない
メタ株の急落が止まらない。8日のナスダック市場でメタ社の株価は前日より2.1%下落し、終値は224.91ドルとなった。この日の株価下落で同社の時価総額は5,993億ドルとなり、6,000億ドルを割り込むこととなった。
株価の上昇を続けてきた同社は今月3日に発表された決算をきっかけに、下落が始まった。メタ社の株価は同日に26%下落し、時価総額が約2,513億ドル失われた。メタ社の市場価値の損失額はオラクルやシスコのような企業の時価総額よりも大きく、ディズニーの時価総額にほぼ匹敵するほどの規模であった。株価下落の直接的な原因は低調な決算発表によるものだったが、中核事業である広告事業が相次ぐ逆風に見舞われていることや、TikTokというライバルの浮上によるユーザー数の足踏み、メタバース事業に対する懐疑論、米当局による規制、アップルのプライバシー方針変更などの悪材料も影響している。
株価続落の原因は
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メタバースブームのなか、注目集まるVRデバイス(前)メタ社は、米国の証券市場で1日の下げ幅としては過去最大という不名誉な記録を残してしまった。背景には同社のユーザー離れと成長ビジネスモデルへの危惧がある。
メタ社のビジネスモデルはユーザー数を増やし、それによって広告収入を増加させることだ。同社広告部門の売上高が第4四半期の収益の大部分を占めていることからもわかるように、同社は当分の間、広告事業に依存せざるを得ない。ところが、ユーザー数の伸び悩みで、広告収入にも影響が出ているなか、メタバースへの事業転換でコストが膨らみ、このような結果を招いてしまった。さらに深刻な問題は、2004年の会社設立以来、初めてユーザー数が減少に転じたことだ。
(つづく)
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