ルキアン幻の2ゴール アビスパまたもドロー
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は6日、ホームのベスト電器スタジアムに北海道コンサドーレ札幌を迎えてJ1第3節の試合を行った。
アビスパ、コンサドーレ札幌ともにここまでのリーグ戦は2試合を行い、2引き分け。ルヴァンカップで公式戦初勝利を挙げたのも同じで、お互いそろそろ勝利がほしいところだ。ベススタは陽光がさんさんと降り注ぎ、強い風もない絶好のコンディションとなった。
アビスパの先発メンバーは、DFドウグラス・グローリとDF宮大樹に加え、DF熊本雄太も先発して3バックとなった。コンサドーレはミシャ・ペトロヴィッチ監督お得意の3−6−1のフォーメーションで来ると読み切り、長谷部茂利監督は相手と同じシステムで戦うミラーゲームを選択した。
試合は、その長谷部監督の狙いがズバリと的中するかたちで進んでいく。相手の3バックをFWルキアン・FW山岸祐也・MFジョルディ・クルークスがしっかり監視し、中盤ではMF前寛之・MF中村駿が主導権を握らせない。ウイングバックの位置に入ったDF湯澤聖人・DF志知孝明は再三札幌のサイドを突破してチャンスを演出した。
札幌はボールを持つ時間が長くなるが、これはいわばアビスパが「持たせている」形。札幌の最前線で待ち構えるFW興梠慎三にいいかたちでボールが入らず、完全にアビスパペースで前半が進んでいく。
そして、当然決定機はアビスパにめぐってくる。29分、MFクルークスのスルーパスに鋭く反応したFW山岸がペナルティエリアに侵入。札幌DF田中駿汰はたまらず後ろから山岸を倒してしまい、審判はイエローカードを提示してPKを宣告した。
ボールをセットするのはFWルキアン。J2得点王という看板を引っさげて加入したルキアンだが、ここまで無得点。ここでゴールを挙げることで、弾みをつけてほしい……という人選に見えた。
ルキアンは短い助走から鋭いシュートを放つが、これを札幌GK菅野孝憲が完全に読み切ってキャッチ。ゴールラインを割ることはなかった。
その後も、中盤から両者身体をぶつけ合う激しい展開が続く。33分には連携からチャンスをつかんだDF湯澤が鋭いシュートを放つ。GK菅野は前に出ておりゴールは空いていたが、ここは札幌MF菅大輝がゴールライン上でクリアして得点を許さない。
そして38分。MFクルークスのコーナーキックから、こぼれたボールをFWルキアンがヘディングで叩きつける。これは弾かれるが、そのこぼれ球をもう一度ルキアンが押し込み、アビスパが先制したと思われた。だが、ルキアンのヘディングが当たったのはアビスパDF宮大樹の手だった。故意だったとは思えないが、これがハンドの判定となり、ノーゴールの判定となった。ルキアンは、わずか10分のあいだで2ゴールが「幻と消えた」格好だ。
後半もアビスパが押し気味で試合を進めるが、60分、69分とペトロヴィッチ監督が交代カードを切ると、札幌の攻撃も活性化。後半アディショナルタイムには札幌MF青木亮太のシュートがネットを揺らすが、これはオフサイドの判定。試合は引き分けに終わった。
もしサッカーに判定勝ちがあれば、間違いなくアビスパの勝ちという試合。だが、これもサッカーだ。いいゲーム運びはできており、アビスパに「桜の開花」ならぬ初白星が訪れるのは決して遠くない。
【深水 央】
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