【韓国大統領選】5年ぶりの政権交代(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏保守系が政権を取り戻す
9日に投開票が行われた韓国大統領選は、大接戦の末、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が当選した。
韓国の大統領選は5年に1度、国民の直接選挙によって大統領が選ばれる「ビッグイベント」で、政治に関心の高い韓国では「お祭り騒ぎ」となる。
しかし、今回はコロナ禍のなかで行われたこともあり、これまでのような大観衆を集めての遊説などは少なかったものの、政権交代が求められる状況下、革新系と保守系が激突し、最後まで接戦が続き、野党の尹錫悦氏がわずか25万票差で勝利を収める結果となった。
開票中盤までは、与党の李在明(イ・ジェミョン)氏が優勢だった。しかし、開票率50.59%時点で、尹錫悦氏が初めて逆転、その後も接戦が続き、国民の大多数は、固唾を飲んでテレビ放送を見守ることとなった。
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「三重苦」に苦悶する韓国経済(前)KBSテレビが「尹錫悦氏の当選が有力」と報じたのは3月10日の午前2時過ぎで、当選確定を報じたのは、さらに1時間後だった。韓国の中央選挙管理委員会によると、得票率は尹錫悦氏が48.56%、李在明氏が47.83%と、その差はわずか0.73%。両者の得票差は、約24万7000票と、歴代大統領選で最も僅差となった。これで保守政権は朴槿恵(パク・クネ)氏が弾劾・罷免で下野して以来、5年ぶりに復活することとなった。尹錫悦氏が大統領に就任するのは5月10日の予定。
尹錫悦氏はどのような人物か
尹錫悦氏は文在寅(ムン・ジェイン)現大統領によって検事総長に任命されたが、文政権の高官への捜査をめぐり、当時の権力の中枢と対立。その結果、検事総長を昨年3月に辞任している。
絶大な権力をもつ大統領と対立するなど、権力に屈しない点が高く評価され、尹錫悦氏は保守層から祭り上げられ、「国民の力」の大統領候補になった。しかし、尹錫悦氏は「検察一筋」で政治経験はまったくなく、テレビ討論会でも経験不足を露呈した。また、夫人による株価操作疑惑など、さまざまな疑惑も浮上した。しかし、現政権に審判を下したいという国民の要望があまりにも強く、現在のような中国・北朝鮮寄りの政策のままでは、韓国が外交的に孤立するのではないかという危機感も募っていたこともあり、野党の候補として選ばれた。尹錫悦氏は大統領候補として、多くの問題点が指摘されたが、今回は政権交代が優先されたかたちだ。
今回の大統領選も、いつものように革新系と保守系の一騎打ちのかたちとなった。選挙戦は熾烈な「ネガティブキャンペーン合戦」となり、選挙後も、両者の間に深い溝が残るのではないかと憂慮する声も多かった。
(つづく)
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