SWIFT排除のロシア 事実上のデフォルト(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏ロシアのウクライナ侵攻 その背景とは?
近年、局地的な紛争はあっても、大きな戦争はなく、世界は平和な世の中を謳歌していたが、ウクライナで戦争が勃発し、世界の人々を不安にさせている。ロシアのウクライナ侵攻は毎日マスコミを賑わせ、世界経済を混乱に陥れている。
この戦争は長期化するのではないかという懸念と、最悪の場合には第三次世界大戦に発展するのではないかという恐怖すら引き起こしている。正当性のない戦争を起こしたロシアに大きなダメージを与え、戦争をやめさせるため、欧米各国はロシアに対する経済制裁を発動している。制裁措置の1つであるロシアのSWIFTからの排除と、それがもたらす今後の世界経済への影響について取り上げる。
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【韓国大統領選】5年ぶりの政権交代(前)まず、ロシアがウクライナに侵攻した背景について簡単に触れよう。ロシアは広大な土地をもち、敵国が隣接していると、いつ攻められるかわからないため、緩衝地域をもちたいという要望がある。そのような状況のなか、ウクライナはヨーロッパとロシアをつなぐ要所であり、黒海に出られる足場にもなることから、ロシアにとって戦略的に味方につけておきたい国だった。
ところが、ウクライナは旧ソ連時代にロシアの支配を受けたこともあり、親ロシア勢力も存在するが、一方ではそれに反発する親欧米勢力があり、激しく対立が続いていた。
現職のゼレンスキ―大統領は欧米寄りで、ロシアの脅威からウクライナを守るため、NATOへの加盟を推進していた人物である。もし、ウクライナがNATOに加盟することになると、ロシアは反同盟国と国境を接することになるので、そのような事態は何とか避けたいと思い、国境付近に10万人の兵力を結集させ、ウクライナに脅しをかけていた。
それがエスカレートし、ロシアは2月24日、ウクライナへ侵攻した。当初、ロシアは短期戦でウクライナを制圧できると思っていたようだが、ウクライナの抵抗は意外と強く、戦争は3週間目に突入している。しかし、民間人を巻き込んだ正当性のない悲惨な戦争に、世界の人々はロシアの行為を強く批判している。ロシアに戦争を中断させようと、欧米各国は経済制裁に踏み切った。
SWIFTとは?
SWIFTとは「国際銀行間通信協会」のことで、世界中の銀行間の金融取引を仲介する役割を担っている。世界各国の銀行・金融機関を結ぶネットワークであり、安全性が高く、国境を越えた迅速な決済を可能にしてくれることから、世界200カ国が利用している。
ロシアも300余りの銀行がこのネットワークを利用していて、世界中の高額な決済の約半分がSWIFTネットワークを利用するなど、国際金融取引に欠かせない。このネットワークには、送金銀行と受け取り銀行をつなぐ仲介銀行(コルレス銀行)が存在し、銀行同士が直接取引を処理するのではなく、この仲介銀行を経由して取引が行われる。最近ではこのような業務もデジタル化され、マネーを直接やり取りすることなしに、いくら受け取ったか、送ったかという情報だけをやり取りしている。このようにSWIFTは、国際的な送金・決済になくてはならないネットワークである。
そのため、制裁によってSWIFTから排除されると、ロシアは外国の通貨を受け取れなくなったり、自国の通貨であるルーブルで決済ができなくなったりする。SWIFTから排除されると、まず貿易ができなくなるため、ロシアだけでなく相手国にも経済的なダメージが発生する。とくにロシアから原油やガスを輸入している国にとっては、エネルギー確保の問題に直面する。ただでさえ原油高の状況のなか、今回の措置は一層の原油高を招き、世界経済は景気低迷を余儀なくされる可能性が高い。
過去に同様の制裁を受けた国としてイランがある。イランの核開発の疑惑が持ち上がり、それを阻止するために制裁が加えられた。ロシアのSWIFT排除は当事国だけなく、相手国にも被害をおよぼすため、今回の制裁では3割のロシアの銀行が除外された。しかし、今後制裁がさらに強化される可能性もあり、予断を許さない。
(つづく)
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