アビスパ、今期初勝利！　福岡3-2G大阪

　サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は19日、ガンバ大阪のホーム・パナソニックスタジアム吹田でリーグ戦第5節の試合を行った。

　ここまで4試合を行って、3分1敗と勝利のないアビスパ。いいかたちはつくれているものの、ゴールが遠い状態が続いている。この試合では先発メンバーにMF田中達也、FWフアンマ・デルガドを並べ、運動量とプレスの強化を図った。対するガンバ大阪は1勝1分け2敗と、こちらもスタートダッシュに失敗した格好。守りの要・元日本代表GK東口順昭が半月板損傷、天才的なセンスで攻撃の要となっていた元日本代表MF宇佐美貴史がアキレス腱断裂、ともに手術のため長期欠場を余儀なくされている。

　アビスパは試合開始直後から強烈なプレスでガンバのパス回しを阻害。足元でボールを受ける傾向があるガンバの選手たちの癖を見切ったように、次々とボール奪取に成功する。

　この勢いのまま、試合は一気に動く。10分、相手GKのゴールキックをMF中村駿が弾き返し、前線のFWフアンマへ。フアンマが左サイドのMF田中達也へ、田中達也が前線のFW山岸祐也へとパスをつなぐ。山岸はチェックにきたガンバDF三浦弦太を体を入れ替えながらかわして、ゴール前に走り込む。ボールは山岸から再びフアンマ、そして右サイドから一気に走り込んできたMFジョルディ・クルークスへ。クルークスは利き足ではない右足で、GKの股間を抜く技ありのシュートを放つ。アビスパが電光石火の先制点を奪った。

　試合は圧倒的なアビスパペースで後半へ。58分、相手ゴール前でボールを受けたFW山岸がMF前寛之にパス。この試合、何度もすばらしいパスで局面を打開してきた前が選んだのは、右サイドのMFクルークスだ。クルークスはドリブルで中央寄りに進出すると、左足を一閃。ゴールに向かって鋭く曲がるクロスにFWフアンマ、MF田中達也が頭から飛び込み、最後は田中達也のヘディングシュートがゴールに吸い込まれ、2-0とアビスパのリードが広がる。さらに81分にはガンバDF柳澤亘がクロスボールの処理を誤り、オウンゴール。試合終盤で3-0と、圧勝といえる展開となった。

　しかし、ここからガンバ大阪が意地を見せる。ガンバはDF三浦弦太を前線に送るパワープレイで圧力を強め、84分には途中出場のMF福田湧矢が芸術的なシュートでまず1点。DF熊本雄太を投入して5バックで逃げ切りを図るアビスパに対し、後半アディショナルタイムに、こちらも途中出場のFWレアンドロ・ペレイラがヘディングシュートを決め、1点差に追い上げる。

　しかし、ガンバの反撃もここまで。何とか逃げ切ったアビスパ福岡が、うれしい今期初のリーグ戦勝利を挙げた。長谷部茂利監督が「ちょっともったいない」というように終盤の2失点は要反省だが、まずは初勝利を祝いたい。まだ順位を気にする段階ではないが、この試合を終えたアビスパは勝ち点6で9位につけている。

　次の試合は26日、YBCルヴァンカップグループステージ第3節・アウェイのジュビロ磐田戦。月が変わって4月1日には、ホームのベスト電器スタジアムにサガン鳥栖を迎えてリーグ戦第6節の試合が行われる。鳥栖とのダービーマッチを前に、勝利で弾みをつけたかたちだ。

　まだゴールのないFWルキアン、出場のないDF奈良竜樹など心配な選手もいるものの、チーム状態は確実に上向いている。桜の時期、ピッチで満開の花を咲かせるアビスパイレブンをベススタで応援しよう。

【深水　央】