中国各地でロックダウン 甚大な経済損失(後)
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しかしネットのコメントでは、政府は毒性が弱いというオミクロンの特性を無視し、以前に武漢で講じた「旧対策」で「新問題」に対応している、との見方がある。その一番の目的は、これまでの2年間におけるコロナ対策で残した好結果から、国際社会で「優等生」と
のイメージを守るため、ということである。中国の世論も現在、「経済優先派」と「コロナ対策優先派」による議論が発生している。 野村ホールディングス傘下の野村国際(香港)の調査で、4月16日までに新型コロナウイルスが再流行する中国の45都市で何らかの都市封鎖(ロックダウン)が行われ、対象者が3億7,300万人に上るとみられる、全人口の26.4%が行動制限を受けていることが分かった。
都市封鎖(ロックダウン)で、中国経済の下押し圧力が強まっている。上海市のGDPは中国の4%弱を占める、上海の都市封鎖は現地での生産や消費に大きな影響を与え始め、サプライチェーン(供給網)にも混乱が広がっている。
米アップルの取引先である台湾・和碩聯合科技(ペガトロン)は上海市と江蘇省昆山市の2工場の稼働を停正した。同社は電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界2位、スマートフォン「iPhone」の約3割を生産する。
マツダは本社工場(広島市)と防府工場(山口県)の14日と15日の稼働をとめた。取引先工場が止まり、中国から日本への部品輸送が海路、空路ともに遅れ、部品が調達できないためだ。
在上海日本総領事・大使赤松秀一は4月15日、上海市副市長宗明ら宛に、懇願書を提出した。
懇願書は「上海市に暮らす約4万人の在留邦人も、ほかの中国の皆様と一体となって、この未曾有の困難に立ち向かっています。また、上海市には約1万1000社の日系企業の拠点が所在していますが、いずれの日系企業も、上海市政府の方針に全面的に従って、それぞれができる限りの協力を進めてきています。しかしながら、感染症対策の長期化に伴い、正常操業が行えない状態が既に1カ月以上も続いており、企業活動への悪影響が顕著に表れています」「私の耳にも様々な日系企業からの悲痛な叫ぶ声が届いております」と日系企業が直面している窮状を率直に上海市政府に伝えた。
ただ、このような「ゼロコロナ」政策のなか、上海のロックダウンがいつ解除されるのかは不透明である。仮に上海でコロナが封じ込められたにしても、今は蘇州、西安、広州、鄭州などでまたぶり返しており、部分的にロックダウンが敷かれている。これら各地が短期間で落ち着くことはまずありえない。上海の医学専門家の間から政府に対し、「ウイルスと共存」に路線変更して経済と生活を安定させるように、と求める声も出始めている。
(了)
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