莫大なカネを生む「カジノ」で激突する日・中・韓(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏観光資源として注目集まるIR事業
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)は、観光市場の拡大、雇用創出、税収増大をもたらすとして、近年注目が集まっている。充実した付帯設備をそろえた施設によって、家族連れなどの観光客が増加し、なかにはカジノを楽しむ人もおり、莫大な収益を生み出すからだ。
最近は外国人だけでなく、自国民が利用可能なカジノ(オープンカジノ)が注目されている。IRに多くの人が集まることで、ラスベガス、シンガポール、マカオなどは成功を収めている。また、コロナ禍が契機となり、オンラインカジノへの関心も急速に高まっている。
そのような状況下、日本政府は「オープンカジノ」を売りにしたIR事業に力を入れており、海外IR事業者が投資先を韓国から日本に変更するなど、業界の変動が始まっている。韓国では外国人専用のカジノが主流だが、日本の場合、日本人もカジノを利用できるようになるので、単純計算でも市場規模は日本が韓国の5倍超になるという。
日本・中国・韓国のカジノ市場規模は100兆ウォンだとされる。韓国の観光専門家によると、日本にIR施設が完成すると、韓国は約770万人の観光客を日本に奪われるといい、経済損失は年間2兆7,600億ウォンにのぼるという。
中国も本国内でオープンカジノ政策を推進している。中国は資本流出を深刻に受け止め、防止するために、カジノの運営を検討している。これが実現すると、今まで韓国のカジノ訪問者の半数を占めていた中国からの顧客を失うことになり、大打撃は避けられない。こうした事態を防ぐためにも、韓国は法律の改正を含め、カジノ産業を見直す時期がきていると専門家は指摘する。
根強い反対と今後の展望
カジノ施設の増加に反対する意見も根強い。反対の理由としてまず挙げられるのは、射幸心を助長するなど、社会への悪影響である。また、コロナ前とコロナ以降では、社会環境がすっかり変わっており、デジタル化が一層進むなか、IRのような箱ものに投資するのはいかがなものかという意見もある。また、世界中の専門家が、コロナが終息しても必ず同様のウイルスパンデミックが繰り返されると指摘しており、複合施設などへの巨額の投資は非常に危険であるという見方もある。
世界的な海外IR事業者もオンラインカジノへのシフトなどを検討している状況において、これまでの成功モデルが今後も通用するのかどうかを検証していく必要があるだろう。
(了)
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