「双子の赤字」の危機が高まっている韓国経済(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏貿易赤字が14年ぶりに3カ月連続に
韓国は資源も乏しく、貿易で外貨を稼いで、そのお金で原油や穀物などを外国から輸入して生活をしている国である。韓国の主な輸出品といえば、半導体、鉄鋼、石油化学製品、造船などが挙げられる。コロナ禍のなかでも、韓国は半導体の輸出が堅調に推移し、韓国経済を下支えしてきた。
ところが、韓国経済の一番のよりどころと言っても過言ではない貿易収支が赤字に転じており、韓国経済の先行きが懸念されている。韓国経済が貿易赤字に陥るようになったのは、決して輸出が伸び悩んでいるからではない。輸出はそれなりに順調に伸びている。しかし、米国の利上げなどでウォン安が急激に進んでいるうえに、ウクライナ戦争などの影響でエネルギー価格が高騰し、輸入額が急激に伸びているからだ。それに加え、原材料の高騰は輸入価格を押し上げる要因として働き、輸入額が輸出額を大幅に上回る現象が発生しているからだ。
その結果、韓国の貿易収支は昨年12月から赤字に転じており、今年1月には48.9億ドルの赤字を記録し、14年ぶりに最大の赤字額となった。貿易収支は2月には一時的に黒字に転じたものの、3月からはまた赤字となり、その後は3カ月連続で貿易赤字を記録している。
今年5月の輸出額は前年同期比で21.3%増の615億ドルで、今までの5月の輸出額としては史上最高額であった。ところが、輸入額も同32%増の632億2,000万ドルとなり、輸入額が輸出額を大きく上回って、17億1,000万ドルの赤字となったわけだ。今年の累積貿易赤字額は78億5,000万ドルに達しており、赤字額は膨らんでいる。
このように韓国の貿易収支が赤字に陥った背景には、エネルギー価格の高騰などで、輸入額が大幅に増えたことがある。ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国のロシアに対する経済制裁で、ロシア産の原油が市場から締め出され、原油価格は1バレルあたり120ドルくらいに上がっている。戦争が長期化した場合には、原油価格は1バレルあたり200ドルに達する可能性も排除できないと専門家は予測している。
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テラ暴落で仮想通貨市場に激震(前)1国の経常収支は貿易収支に左右される傾向があるなか、韓国の経常収支は今はかろうじてプラスになっているものの、今後赤字に転じるのではないかという懸念が出ている。
財政赤字で双子の赤字の危機に
韓国の財政収支は、文在寅政府の財政拡大政策と、新型コロナウイルスへの支援策などが重なり、4年連続の財政赤字となった。政府の実質的な財政状況がわかる今年2月までの管理財政指数は、20兆ウォンの赤字となっている。
1次補正予算を入れると、今年の財政収支の赤字額は70兆8,000億ウォンとなることが予想され、赤字額の規模は史上2番目に大きいという。ところが、新政府も選挙公約で自営業者などの支援金として50兆ウォンを支払う予定があり、財政収支の赤字幅はもっと大きくなると予想される。
(つづく)
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