山口FGの再建を“真剣”に考える(5)
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SBIグループとの関係の明確化
山口FGはSBIグループと親密な関係にあり、これはほかの有力地銀とは、異なる傾向である。さらに異質なのは、山口FGは東海東京証券グループとの合弁会社(ワイエム証券)をもちながら、SBI証券を中心とするSBIグループと親密な点である。とくに、ワイエム証券が対面での証券営業を行いながら、ワイエムライフプランニングがSBI証券の代理店として対面営業を行っており、営業の現場に混乱を招いているという。営業現場が混乱するということは、顧客に迷惑をかけるということである。証券に関しては、SBIグループとの関係性を明確にするべきだろう。
NetIB-Newsは、証券事業に関して以下のような提案をしたい。
対面営業はワイエム証券に集約し、SBI証券はネット取引の口座開設のみを案内する――。保険ひろばで対面の証券営業を行うのは、人材面からも難しいだろうが、ネット証券の口座開設のみの案内であれば可能だろう。若年層という顧客属性ともマッチするように思える。銀行顧客にも、ネット証券の格安な手数料に魅力を感じる層はいるはずだ。ネット証券、対面証券のすみ分けを明確にすることで、各証券会社の役割も明確になる。
また、SBIグループとの資本提携に踏み込むことも検討する。つまり、20%程度の出資を受け入れてSBIグループの関連会社になる。さらに踏み込んで新生銀行と同様に連結子会社になる――。山口FGが、SBIグループや新生銀行のノウハウを手に入れることで、近隣他行との差別化を図れる。SBIグループは小規模な地銀にばかり出資しており、新生銀行のもつノウハウを活かす機会が限られているのではないだろうか。SBIグループにとっても、全国有数の地銀に出資することで「第4のメガバンク」構想が現実的なものとなり、悪い話ではないだろう。
ワイエムライフプランニング(YMLP)は整理
ここ数年の山口FGのリテール事業を混乱させてきたのは、ワイエムライフプランニング(YMLP)という会社である。山口FGの調査報告書でもさまざまな問題が指摘されていながら、この会社を整理しようという動きはない。今回の連載記事でも取り上げたように、保険ひろばとの関係でも混乱を招き、ワイエム証券との関係でも混乱を招いてきた。もはや、何が目的で会社を残しているのか理解できない。
設立当初、この会社は保険ショップからスタートし、その後、総合金融ショップへと発展させ、保険ひろばと合併し、ノウハウを移植する計画であったという。その事業がうまくいかず、対面の証券営業(SBI証券)を開始したという経緯がある。証券営業もうまくいかず、富裕層や事業主を対象とした顧問サービス(弁護士や税理士のオピニオンサービス)を展開しようとしているというが、常識的に考えれば、保険や証券の営業よりも難しいだろう。もはや、会社を残すことを目的に、苦肉の策を講じようとしているものと推察される。この小さな会社が、山口FG全体を混乱させるのは合理的でない。計画に失敗し先の展望も見えないのであれば、早々に整理するのみだ。
また、この会社はコンプライアンス面にも問題がある。NetIB-Newsには多くの内部告発が寄せられ、YMLPに関するものも少なくなかった。山口FGでも知らない者が多いという会社にしては、内部告発の数が多く、異様さを感じた。その内容も経営トップの愛人問題に匹敵するくらいに凄まじいものだった。会長の威光を笠に着るお局さまの存在、YMLP取締役とお局さまによるパワハラ、その内部告発を揉み消した社長以下の経営幹部。20名程度の会社で退職者が相次いだというのだから異常という他ない。
パワハラを揉み消した当時の社長Kは、現在は北九州銀行折尾支店長。また、パワハラを行った取締役は、もみじ銀行の支店長を務めている。このような違法行為でも責任が問われないというのが、山口FGの文化なのか。そうではないというのであれば、責任を明確化せよ。
(つづく)
【特別取材班】
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