湿原に生きる生物たち

 7月1日(水)、1年ぶりに脊振山系の湿原に仲間たち3人で訪れた。場所は環境保護のため教えられないが、野球ができるほどの広さの湿原である。

 午前8時に集合し、車で2分ほど移動して湿原へ向かった。10分ほど山の裾野を歩いて藪をかき分けると湿原が開けた。5年前までは1人でよく通った場所である。湿原の植物は、山裾で咲く花と違って、独特の生活環境で生きている。

 この日の観賞目的は、この時期に咲くカキランとモウセンゴケである。カキランはランの仲間で脊振の山道でも一部のエリア(点)で見られていたが、いつの間にか見られなくなっていた。盗掘かもしれない。

 この湿原では畳一枚ほどのエリアに群生していたが、湿原での環境の変化があったのか、このエリアに一本も残っていなかった。

 種を飛ばして湿原のあちこちに点在し、ススキや葦などの植物と共に黄色い花を咲かせていた。生き残っていたのが幸いだった。「元気でいたのか!」と声をかけた。

 沼地であるので長靴を履いてきている。沼地にあまり足跡をつけないように、それぞれ気に入った場所でカキランを撮影した。沼地に足跡をつけると、元の状態に戻るのに10年はかかると聞いている。尾瀬沼では木道以外は歩けない。湿地に入るのは厳禁となっている。

カキラン
湿地に咲くカキラン(ラン科)
2026年7月1日 撮影

 筆者の撮影機材はスマートフォンやデジタルカメラである。ススキの茎や葉が邪魔になるので、少し広げてデジタルカメラで撮影した。以前は一眼レフに重い三脚を立て、マニュアルのマクロレンズで花と対話をしながら撮影を楽しんだ。ファインダーに飛び込んでくる花たちが神秘的な形を見せてくれた。それぞれの花の形に魅せられ、時間を忘れるほど撮影を楽しんだ。加齢と共に目も悪くなり、自動でピントを合わせる便利なデジタルカメラを携帯するようになった。

カキランの接写撮影
カキランの接写撮影

 場所を変え、湿原の端を一周する形で、沼地に長靴を踏み入れて進んだ。少し乾いた場所にモウセンゴケが10cmほどの輪になって広がっていた。穂先は腺毛と呼び丸くなっており、虫たちには朝露に見えるため引き寄せられるらしい。筆者もキラキラと光る朝露と見間違ったことがある。よく調べてみると腺毛だった。蟻くらいの昆虫が捕まっているのを見ることもある。独特の形をした湿原の食虫植物である。また、茎を伸ばし白い蕾が開花の準備をしていた。あと10日もすると白い小さな花を咲かせるであろう。佐賀県唐津市七山池原の樫原湿原では木道から見ることができる。

<モウセンゴケ> 1つひとつの葉は1cm程度 先端の丸い所から粘液を出している 全体の大きさは10cm四方ぐらい 2026年7月1日 撮影
<モウセンゴケ>
1つひとつの葉は1cm程度 先端の丸い所から粘液を出している
全体の大きさは10cm四方ぐらい
2026年7月1日 撮影

 湿原ではトンボも多く生息している。ここでは小型のトンボが多い。湿原での撮影を終えて場所を変え、草原の中にある小さな池の周辺を歩いてみた。この池では真夏にはガマの穂も見ることができる湿地帯である。たくさんの小型のトンボが舞っていた。

 植物にとまり、すぐに飛び立つトンボもいれば、しばらく動かないトンボもいる。筆者はトンボには詳しくないので、帰宅して参考書で調べてみる程度である。トンボを見ると、捕虫網を持って遠賀川の土手でトンボ取りをしていた子供の頃を思い出す。

 2時間ほどの散策だったが、時間を忘れるほど過ごした。初めて湿原を体験した女性Sは十分満足していた。

 交流のある背振少年自然の家の庇の下で、許可を得て昼食を取った後解散した。モウセンゴケの花の咲く頃、もう一度訪れてみたい。

脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

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