人体の加齢と健康長寿、20歳から100歳までの身体機能マップ(7)健診結果の読み方

 人は何歳から老い始めるのか。筋肉や骨は若年期にピークを迎える一方、語彙力や状況判断力は60代まで伸びるなど、身体機能の加齢曲線は一様ではない。本稿では、公的統計や学会ガイドライン、査読論文を基に、20歳から100歳までの変化を臓器別・年代別に整理。健康寿命を延ばすための実践策や、90歳以降に機能を維持するための要点を紹介する。
 ところで、医学情報の最大の落とし穴は、確立された事実と、有望だが未確定の仮説が同じ調子で語られることである。本レポートでは、すべての記述を以下の三段階で区別し、本文中に記号で示す。

表0

数値を「自分の年齢の文脈」で解釈する

 健診結果を生かすには、基準値との比較だけでなく、年齢を踏まえた解釈と、経年変化の把握が必要である。

7-1 3つの読み方

  • 基準値との比較:最も基本的だが、年齢によっては過剰診断・過小評価につながる(特にeGFR)。
  • 経年変化:単年の値より、変化の傾きのほうが重要な情報を持つ。基準値内でも急速に低下していれば精査の対象になりうる。
  • 他の項目との組み合わせ:eGFRと蛋白尿、体重とアルブミンなど、複数の項目を併せて見る。

7-2 主要項目の解釈のポイント

表

健診で最も見落とされやすいもの
 握力と歩行速度である。多くの健診には含まれていないが、サルコペニアとフレイルの中核的な指標であり、将来の要介護化を予測する力は血液検査に匹敵する。
 握力計は比較的安価に入手できる。歩行速度は5mを歩く時間を測れば概算できる。年に一度、自宅で測って記録するだけでも価値がある。

(つづく)

【Hayate Kirishima】

< 前の記事
(6)

関連記事