寡占化を推進するヤマダ電機(3)家電から住宅・家具・金融へ M&Aで築く「くらしまるごと」戦略

偉容を誇るJR高崎駅前の本社

 (株)ヤマダホールディングスの本社所在地は群馬県高崎市、上越・北陸新幹線が停車するJR高崎駅のすぐ近くにある。正確には同駅にペデストリアンデッキでつながる地上12階建の「LABI1 高崎」のなかに、同社の北関東における旗艦店「LABI1 LIFE SELECT 高崎」が、そして上層階に本社などが入居。駅周辺を訪れるとわかるが、そこが紛うことなく同社の本拠地であることをよく表す偉容を誇っている。旗艦店を訪れる顧客はもちろんのこと、グループ社員や取引先関係者などが行き交っている。

 1973年に群馬県前橋市で「町の電気屋」として始まった同社は、2000年代に入るまで自社の直営店舗を日本全国で高密度に展開することで急成長してきた。とくに80年代から2000年代にかけては、北関東を本拠地として全国展開を急拡大させていたコジマ(旧・小島電機、本社=栃木県)と、ケーズデンキ(旧・カトーデンキ、本社=茨城県)との「YKK戦争」と呼ばれる熾烈な競争を展開し、そのなかで業績を拡大した。

 ただ、2000年代からは同業他社をグループ化していった。以下はそのなかの代表的なものをピックアップしたものである。

【2000年代】
02年5月:(株)ダイクマを子会社化(後に吸収合併)
07年6月:(株)マツヤデンキ(ぷれっそホールディングス)を買収
07年10月:(株)キムラヤセレクトの株式を取得
08年12月:(株)コスモスベリーズを完全子会社化
09年3月:九十九電機の事業を譲受

【2010年代】
11年10月:エスバイエル(現・ヤマダホームズ)を連結子会社化
12年6月:(株)ハウステックを完全子会社化
12年12月:(株)ベスト電器を子会社化(後に完全子会社化)
18年8月:パーソナル少額短期保険(現・ヤマダ少額短期保険)を買収
19年12月:(株)大塚家具を子会社化(後にヤマダデンキへ統合)

【2020年代】
20年5月:(株)レオハウスを買収(後にヤマダホームズへ統合)
20年10月:(株)ヒノキヤグループを子会社化
23年1月:(株)あいづダストセンターを子会社化
25年11月:東和総合住宅(株)を子会社化
26年2月:トクラス(株)の株式を取得、子会社化

 家電普及率の上昇によって新規需要は一巡し、人口減少や少子高齢化も見据えなければならなくなったこと、店舗を新たに出店するだけでは成長が難しくなり、既存企業を取り込むことが有力な成長戦略となったのだ。また、単なる店舗数の拡大ではない。家電販売を核としながら、住宅、家具、リフォーム、住宅設備、金融などを取り込み、「くらしまるごと」を提供する企業への転換を狙ったものであった。

業界の再編、統合を促す

 こうした業界が置かれる状況の変化はもちろん、ヤマダホールディングスによる00年以降のグループ化による拡大、他の同業大手の再編を促した。(株)ケーズホールディングスは04年にギガス、八千代ムセン電機(株)(現・関西ケーズデンキ)をグループ化。07年に(株)デンコードーを子会社化するなどしている。(株)ビックカメラは06年12月に(株)ソフマップを、12年4月に(株)コジマを子会社化。ノジマも17年4月に(株)ニフティ、25年1月にはVAIO(株)を子会社化している。

 27年10月にヤマダホールディングスとの経営統合が予定されている(株)エディオンも同様だ。エディオンは02年3月に(株)デオデオと(株)エイデンの株式移転により設立された持株会社。その後、(株)ミドリ電化や石丸電気(株)などを子会社化している。

 ヤマダホールディングスとエディオンの両社を合わせた売上高は約2兆5,000億円規模となり、これは家電販売業界ではこれまでにない規模の事業体が出現するということになる。そして、それはこの業界のさらなる再編の契機になりそうだ。これまでの家電量販店は店舗網の広さが競争力だった。しかし今後は、住宅、リフォーム、家具、金融、通信などを含めたグループ全体のサービス力が競争の軸になる可能性が高い。

(つづく)

【田中直輝】

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