世界的音楽グループ「BTS」、突然の活動休止発表(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏活動休止発表の背景は
個々のメンバーは相当悩みを抱えていたようだ。事務所にとって、音楽グループは投資の対象なので、事務所としては当然、投資した分を回収しようとする。メンバーは基本的に事務所が用意するマンションで生活しなければならないし、契約に縛られ、殺人的なスケジュールをこなさなければならない。
その結果、物理的にスケジュールをこなすことに必死にならざるを得ず、自由な時間や考える時間などがなく、自分が消耗していくことを感じるようになったとメンバーの1人が告白した。ここでいったん休憩して、今までを振り返り、より一層成長するための「何か」を求める時期にしたいのだろう。
また、このような決断に至った背景には、韓国の特殊な事情も影響している。「BTS」の最年長メンバーのJINが1992年生まれで、法律の改正がない限り、今年入隊しなければならないし、他のメンバーも順次入隊しなければならない。そこで、グループ活動よりもソロ活動に切り替え、一部のメンバーが抜けても良いようにしたのだろう。
韓国には徴兵制度がある。男性は満20~28歳の誕生日を迎えるまでの間に兵役に就く義務がある。芸能人は28歳の誕生日を迎えるギリギリまで活動してから、入隊するケースが多く、今年は94年生まれの多くの芸能人の入隊が予想される。一方、「BTS」は21年6月に施行された改正法、通称「BTS法」により、大衆文化芸術分野優秀者として入隊が2年延期されている状態だ。最年長のJINは、2年間延長されたことを計算にいれると、今年必ず入隊しなければならない。ほかのメンバーも大半が20代後半ということを考えると、今後数年間はメンバーの誰かが入隊していることとなり、全員が揃うのは難しい。
オリンピックのメダリストや、多大な功績をあげた人物に対して兵役が免除されるケースがある。活動を休止すると韓国経済に大きな損害を与えるので、「BTS」の兵役も免除すべきだという世論もある。一方、東方神起、BIGBANG、EXOをはじめとした男性K-POPグループのメンバーは、その多くがすでに兵役を終えていたり、現在、服務中であったりする。
そんな中、「BTS」だけを兵役免除するのは公平ではないという世論や、「兵役逃れ」に対する非常に厳しい意見などもあって、今のところ「BTS」が兵役免除になる可能性は低い。そのため活動休止という苦渋の選択をせざるを得なかったのだろう。
今後の影響は
活動休止のニュースが報じられると、所属会社であるHYBEの株価は前日比で20%以上暴落するなど、影響は多方面に及んでいる。その結果、HYBEの時価総額は1日にして2兆2,000億ウォン減少した。
普通の音楽グループでも休止期間を挟むと、人気が落ちていくのが常である。「BTS」は世界を代表する音楽グループだけに、韓国経済に与える経済的損失は計り知れない。
(了)
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