ビットコインの下落はいつまでなのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏ビットコインの下げが止まらない
ビットコインの下げが凄まじい。ビットコインは昨年11月に6万7,553ドルに達し、最高値を記録していたが、今年に入って下げトレンドとなり、価格の下落が続いている。先週のビットコイン価格は、昨年11月の過去最高値に比べると70%強も下がり、一時1万8,000ドルを割り込むこととなった。時価総額2位のイーサリアムも19日、一時880ドルまで下落し、1,000ドルを割り込んだ。
イーサリアムも昨年12月に付けた高値から70%も下落。イーサリアムよりも時価総額の小さいカルダノ、ソラナ、ドージコイン、ポルカドッドなどの仮想通貨の下げはさらにきつい。
仮想通貨の変動性を補うために使われているステーブルコインにも、仮想通貨市場の動揺が広がり、ステーブルコインの代表格であるテザーの時価総額も1週間で6%ほど減少している。次世代の金融革命として注目が集まっていたDeFi(分散型金融)においても、問題が露呈し始め、分散型金融が仮想通貨市場の時限爆弾になるのではないかという懸念すら持ち上がっている。
仮想通貨の時価総額は一時3兆ドルを上回っていたが、現在はビットコインなどの下落で9,000億ドル以下に縮小している。世界経済の減速はこれからであり、さらに黒い影を落とすと予想されるなか、ビットコインの下落は今後も続くのか、それとも止まるのか、誰も予断できない。
ビットコイン暴落の背景
暴落した背景を考えると、第1に現在の経済環境がビットコインの下落に影響を与えている。米国の消費者物価指数が予想を上回って高いことから、米国の金融当局は物価の安定を目指すべく、金融引き締めを急いでいる。そのことにより、景気後退の懸念が強まり、株式市場が急落。ビットコインもその影響を受けて、リスク資産として売られている。
第2に、仮想通貨をめぐる事件が、ビットコイン暴落のきっかけとなった。5月にステーブルコインの「テラ」が突然、米ドルとのレート連動を維持できなくなり、テラが大暴落してほぼゼロになるという事件があった。仮想通貨市場でトップ10に入っていたテラが瞬く間に大暴落し、価値が紙くず同然となった事件は、市場を一気に冷え込ませ、仮想通貨市場から資金が逃げ出すきっかけをつくった。ただでさえ、世界経済は金融引き締めに向かい、リスク資産から資産逃避が進もうとしたタイミングにテラ事件が発生した。
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世界的音楽グループ「BTS」、突然の活動休止発表(前)その後、テラの傷がまだ癒えないなか、仮想通貨の貸し出し業者「米セルシウス・ネットワーク」 が顧客による引き出しや資金移動の停止を発表したことで、仮想通貨への不安は一層高まり、仮想通貨全体の大きな下げにつながった。仮想通貨市場は価格の暴落により、今まで気づいていなかった市場のリスクが露呈し始め、その結果、売りが売りを呼ぶ悪循環に陥った。
セルシウス社は米国ニュージャージー州に本社を置き、仮想通貨のレンディングを主に行う。レンディングとは、仮想通貨を取引所などに貸して、年間数%程度の金利をその見返りとしてもらうこと。セルシウス社は個人などから仮想通貨を集め、それを大手企業などにもっと高い利率で貸すことなどで収益を上げていた。いわば、仮想通貨業界の銀行のような役割だった。
(つづく)
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