【福岡IR特別連載95】ハウステンボス悲喜こもごも「全員が笑えるか?」
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辣腕ぶりを発揮
澤田秀雄氏は言わずと知れた、HISのオーナーである。西日本新聞(7月23日)で報じられた「ハウステンボスの売値800億円」の記事を読んで「澤田氏やるな!『IR誘致可能なり』で説得して相手の欲を“刈り取った”な」と評価し直した。12年前、15億円で取得したハウステンボスを800億円で売り渡せばHISの再建は十分に可能」と唸った。長崎県・佐世保市を「手玉に取った」のである。
福岡財界は支援をめぐって分裂
2010年にハウステンボスは2回目の破綻となった。2回目のスポンサーであった野村プリンシパル・ファイナンスが手を引いた。そこに颯爽と登場したのが澤田氏である。
支援をめぐって福岡財界は分裂した。福岡地所の榎本一彦オーナーは「支援しない・意味がない」と毅然と決断。金融機関は回れ右して撤退した。
支援側は西鉄がまず意思表明をした。次にJR九州、九電、西部ガスと続いた。九電・西部ガスは「energy供給センター」を設置しているから引くに引けなかったのである。この場では支援しないことを決断した榎本一彦氏が男を挙げた。快挙であった。澤田氏は結果、15億円でハウステンボスを掌握したのである。
800億円であればみんながハッピー
ハウステンボスの資本金は15億円である。九電の出資率は13.33%でほぼ2億円、西部ガスは10.00%の1.5億円だ。もし800億円で転売できれば九電には107億円、西部ガスには80億円の資金が転がりこんでくる。「九電・松尾相談役!本当にご苦労さんでした」という慰労の言葉をかけられることになる。九電にとって107億円のマネーが転がりこんでくることはありがたいことであるが、狂喜乱舞するほどの金額ではない。ところが業績不振の西部ガスにとって80億円は狂喜乱舞の大金となる。これで「ジ・エンド」となれば関係者はすべてハッピーとなるのだが・・・。
IR誘致の誘いが高値800億円の核心か?
西日本新聞の記事は「800億円の値付けに関しての要因にまったく触れていない」ものであった。策略家・澤田秀雄氏がいかなる説得材料でPAGを口説けたのか!昨年4月、インドネシアにパーム油の市場調査の為に渡った。その際、投資案件が煮詰まっていた矢先にPAGが断ってきた現場に立ち会った。厳しい判断、掌返しを平然としてくる投資会社である。
もし澤田氏が(1)長崎県、佐世保市行政から200億円払われます(2)「ハウステンボスへのIR誘致は間違いありません」を説得材料に使っていたならば、「一寸先は闇」となる。老婆心ながら、この点を懸念するのである。
【児玉 直】
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