真夏の奇跡! アビスパ、コロナ禍に負けず快勝 神戸1-2福岡
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は3日、ヴィッセル神戸のホーム・ノエビアスタジアム神戸でルヴァンカップ・プレミアステージ準々決勝第1戦を戦った。
「この試合、大変なことになる」。筆者のみならず、多くのアビスパサポーターは試合前のスターティングメンバー発表を見て、衝撃を受けたに違いない。本来ならスタメン・ベンチ入りの選手は合計18人が上限のところ、この試合アビスパが登録したのは15人。しかも、ベンチの4選手のうちGKが2人というあまりにも苦しいメンバー構成だ。スタメンの11選手も、本来のポジションでいえばFWが4人、MFが1人、DFが5人、GKが1人とバランスを欠く。当然、普段とは異なるポジションで試合に臨むことが予想された。
この日の午後、アビスパは選手・スタッフのうち9人が新型コロナウイルス感染症の陽性診断を受けたと発表した。7月末からの陽性判定者は22人となり、チーム内で感染が広がっている。苦しいメンバー構成はこの影響である。
そんな状況でスタートしたこの試合だが、アビスパは普段通りの堅固な守備と果敢なチャレンジでゲームをスタートさせた。ボールを支配するのはテクニックに優れた選手が多い神戸だが、アビスパは全員が惜しみなく走り、神戸のチャンスの芽を摘む素早いプレスで対抗する。
そしてゲームを動かしたのは、昨シーズンのスーパーヒーロー・FWジョン・マリだ。44分、GK村上昌謙のロングフィードをFWフアンマ・デルガドが競り、こぼれたボールをジョン・マリが頭で前方に落とす。ジョン・マリはそのまま右足を強烈に振り抜いてシュート。鋭いドライブがかかったボールは神戸GK飯倉大樹の目の前でバウンドし、その手をかいくぐってゴールに突き刺さった。
予想外の先制で、アビスパの選手とスタッフ、そして神戸まで駆けつけたサポーターたちが一気に沸き上がる。
さらに、ジョン・マリの圧倒的な能力が炸裂する。後半に入り、58分。DFドウグラス・グローリのロングフィードをFWフアンマ・デルガドが競って落とし、ゴール前のジョン・マリへ。神戸DF大崎玲央を背負ってスペースを空けたジョン・マリがワンタッチでボールをつなぐと、そこに走り込んでいたFWルキアンが狙いすましたシュートを一閃。正確にコントロールされたシュートはゴール右上隅を射抜き、神戸GK飯倉はただ見送ることしかできなかった。
なんと、圧倒的に不利と思われていたアビスパが2-0とリード。だが、神戸もこのままでは終われない。世界的なスター・MFアンドレス・イニエスタ、日本代表FW大迫勇也、元日本代表DF酒井高徳がピッチに入り、追撃を試みる。だが、アビスパの選手たちの決死の守りは揺るがない。
そして後半アディショナルタイムになると、アビスパの長谷部茂利監督が最後の交代カードを切る。GK山ノ井拓己がフィールドプレーヤー用のユニフォームに身を包み、FWの位置に入ったのだ。山ノ井は果敢にボール奪取を狙い、MFイニエスタとのマッチアップという場面も見られた。
99分には神戸FW大迫勇也がゴールを決めるが、試合はそのまま終了。満身創痍で試合に挑んだアビスパが、2-1で勝利をつかみ取った。長谷部監督は試合前に「ピッチの上では11人対11人ということは変わりませんから」とコメントしていたが、まさにその言葉どおり。出場したすべての選手が、死力を尽くして戦った結果だ。
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アビスパが次のステージに進むのに必要なものはルヴァンカップ・プライムステージ準々決勝第2戦は、今月10日にアビスパのホーム・ベスト電器スタジアムで行われる。また、今週末の6日にはJ1リーグ戦第24節ガンバ大阪戦が、こちらもベスト電器スタジアムで行われる。3日のガンバ大阪戦は、声出し応援運営検証対象試合として行われるため、一定の条件に従えば選手たちに直接声援を送ることができる。過密日程とコロナ禍、そして猛暑と、厳しい状況で戦い続けるアビスパをスタジアムで応援しよう!
【深水 央】
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