吉野家が中国で伸び悩んでいる理由(前)
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吉野家がここ数年、中国で伸び悩んでいる。2020年から21年にかけて、合わせて50以上店舗を閉鎖した。
1992年、北京で中国1号店をオープンした際には、結婚式の会場レベルと見られるほどではないにしても、社会現象ともなったケンタッキーの開店当初にも劣らぬ人気であった。
飲食店はほぼ家族経営のスタイルだった当時の中国にあって、吉野家は客回転率や面積効率などを掲げて攻勢を強めた。
「早い、うまい、安い」とのフレーズをもって斬新なチェーン店モデルを掲げ、週末には牛井1日2000食を達成するまでに至った。
しかし、ここ数年は中国で赤字が続いている。新型コロナウイルスで飲食業界全体が打撃を蒙っているほか、経営戦略が保守的であるという社内の問題も理由に挙げられる。他の外資系飲食店に比べれば割と安定してはいるか、一方で新規性に欠けている。
その大きな理由は、値段が高い上にメニューが乏しく、消費者から飽きられているからである。食品業界が急成長している中国では今、吉野家のようにご飯に肉類をのせたものは新鮮味がなくなっている。1食40元(約820円)近くもするため価格メリットはなく、また牛井だけでは、鶏肉や豚足の煮込み丼、あるいは各種ラーメンなど、豊富なメニューを揃えた店には太刀打ちできない。
新たな売り手が続々と力をつけているなか、足取りの鈍い吉野家はもはや新世代からの愛着感を失っている。これは日本でも同じで、おしゃれ好きな若者たちは「ユニクロをまとって吉野家で三食」という安っぽいイメージに抵抗感を覚え、「明るくて高級」なレストランに魅力を感じてしまう。世代交代も早く、目移りするような中国の飲食界では、このような古めかしい消費の場面は完全に浮いてしまうのである。
薄れる新鮮味
中国の食品産業アナリストである朱丹蓬氏は、吉野家について、「メニューが『二十年一日』で新鮮味がない」と述べた。「日本の企業は伝統を好むが、中国はサバイバルの世界で、絶えず革新しレベルアップをしていく。なので、吉野家には中国の水が合わないだろう」というのである。吉野家の経営理念はあまりに遅れている、と朱氏はいう。同じ外資系のマクドナルドやケンタッキーなどは中国の文化や特徴にすんなり溶け込んでおり、新世代のニーズを満たして志向に合わせているので、概ね順調に伸びているが、吉野家は旧態依然であるという。
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「生娘シャブ漬け」発言の吉野家常務の輝かしい履歴(前)朱氏は、外資系も含めた飲食チェーン各社が事業を展開する今の中国で、「吉野家」はこれまでの日本発というブランドや規模的な効果が薄れていると見ている。吉野家は今、一から立て直しするか、中国の文化や特徴、習俗を改めて取り入れて存続を図るべきだとし、「ささもなければ今後、中国から撤退する可能性もたしかにあり得る」と朱氏はいう。
「とにかく今、消費の主軸になっている新世代を全般的に研究する必要があり、ニーズを見極めてそれを満たす努力をすべき。今は全聚徳も含めて各社ともイノベーションを進めており、生まれ変わりや挑戦を繰り返しているなか、意固地な吉野家は先が望めない」とストレートに述べた。
(つづく)
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