2024年07月17日( 水 )

ユン大統領の支持率急落、原因は?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

支持率下落が止まらない

青瓦台 イメージ    尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が下落し続けている。6月上旬までは支持率50%台を維持していたが、6月の4週目に実施された世論調査では、否定的な評価が肯定的な評価を上回った。韓国ギャラップの調査(2022年7月26日から28日まで/全国満18歳以上の1,000人を対象)では、肯定的な評価が28%と、初めて20%台まで下落。8月に入っても支持率は依然として20%台に低迷している。

 大統領の支持率というのは、就任して時間が経過すればするほど、下落するものだ。就任当時に新大統領に抱いていた幻想が冷めていくからだ。就任の末期になると、支持率が下がり、統治力が弱まる「レームダック現象」が発生する。しかし、「ハネムーン時期」と言っていい就任初期にこのように支持率が下落するケースは珍しい。

 韓国ギャラップが公開したデータによると、就任3カ月間の支持率は、盧泰愚大統領29%、金泳三大統領71%、金大中大統領71%、盧武鉉大統領60%、李明博大統領52%、朴謹恵大統領42%、文在寅大統領81%。ところが、ユン大統領は就任して100日も経っておらず、アジア通貨危機のような大きな事件があるわけでもないなかで支持率が急落している。

 専門家の分析によると、支持率の急落は、閣僚人事の失敗や大統領としての経験不足、資質不足など、外部環境よりも大統領本人によるものが大きいという。権力に屈しない性格が評価され、接戦を制して大統領に就任したが、大統領に相応しくない発言や、立ち居振る舞い、夫人問題などで支持率が下がっている。大統領本人は支持率下落の重大性をまだ認識していないようだが、問題は支持率の下落がどこで止まるかがわからないことだ。

 支持率が下落を続けると政局運営が難しくなる。大統領支持率が40%を下回れば、国政運営に支障が出ると言われているが、現在はそのラインを優に超えている。とくに、ユン大統領のように政治経験がまったくなく、政治的な支持基盤が脆弱ななかでの支持率下落は大きな問題につながりかねないという指摘もある。

 支持率が下がると、野党からの攻勢も激しくなる。国民の支持を得られない大統領など、まったく怖くないからだ。支持率の下落は国内問題にとどまらず、外交問題まで波及する可能性がある。日韓関係の改善を強く主張しているユン大統領ではあるが、日本からは、国民の支持が得られていない現在のような状況で、関係改善が実現できるのか疑問視されている。

(つづく)

(後)

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