世界の民主主義の危機と多国間主義(5)
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Devnet International 創始者
ジャーナリスト ロベルト・サビオ 氏Net I・B-Newsでは、世界の有識者約14,000名に英語等10言語でニュースを配信する「OTHER NEWS」(本部:イタリア)に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。今回はDEVNETの創始者でガリ元国連事務総長の秘書室長を務めたロベルト・サビオ氏から寄稿していただいた記事を掲載する。
2.「反省の日」の具体的計画
私たちにとって不可欠なのは、現状とそれが起こった原因について再考し、レトリックに溺れず、もはや存在しない世界に対するノスタルジアを超えて、具体的な行動提案を練り上げることである。私たちは、メディアやあらゆる可能な議論の場で認識されるような最終的な宣言と、市民行動によって実行されうる行動計画をもつことを目指すべきなのである。この計画のプロセスは共同体意識を共有する地球市民を生み出すことになろう。これには時間がかかるが、参加し行動する人々を生み出すことになろう。
この計画は「招集者」「地域会議」「世界会議」の3つのセクターで構成される。
2a) 参加者について
私たちは、民主主義と多国間主義をめぐる議論において基本的な部分を占めながら、そのための共通項がないためにめったに会うことのない3つのセクターの間に考察と議論のための場を設けることを提案する。この3つのセクターは互いにコミュニケーションをとることで、お互いの意見を聞くことに興味をもつことになるだろう。
できるだけ多くの若者をこれに参加させることが基本である。もちろん、民間企業の参加も重要だが、そうすると議論のスピードがかなり落ちるし、コミュニケーションもはるかに難しくなる。私たちの提案は、ともかく「一緒にやろう」ということである。
国会議員、あるいはその他の選出された公務員、あるいは労働組合から社会的クラブまで、あらゆるレベルの選出された人たちに参加してもらおう。学術界、市民社会、さらに民間から社会性のある人材を見つけ出すことも重要である。
この3つのセクターは、国や地域を問わず、どのようなレベルでも存在し得る。丸1日かけて合同の会議を持ち、現在開発中の一連の質問を用意し、共同体意識をもたせるために世界中で同じ質問をすることになる。
会議日は世界中同じであるべきで、参加者はそれによって世界的な考察に貢献しているという意識をもつことができるだろう。もちろん、国や地域独自の関心事を追加することはできるが、一般的な質問には全員が答えられるようにすることが重要である。
個人またはグループが合意した点や反対した点、そしてその日の反省を含めてまとめを文書化する必要がある。その文書は回覧され、さらなる討論の基礎として使われるようにしたい。
その点で、チリの非常に評価の高い世論調査会社が、参加者の回答をグローバルに集計するシステムを提供してくれることを申し出てくれたことは非常にありがたい。これによって、「世界反省の日々」の結果をすべての招集者に送ることができ、場合によってはさらなる討論のために使うこともできるだろう。
招集者が有用または必要と判断した場合、「反省の日」を2日に延長することも可能である。また、サステイナビリティ・フォーラムの支援のもとに設立された科学諮問委員会が、このプロセスに随伴して参加型民主主義を反映した最良の内容と仕組みを供給できることは周知されるべきことである。
2b)招集者
会の招集者は名声などによって招集力を持つ人でなくてはならない。そのような招集者が3つのセクターから10人から30人を集めるのは難しいことではない。WACCやWorld Sustainability Forum、University for Peace、European Center for Peace and Developmentなど、さまざまな組織でそのような人物を見つけることができるはずだ。 また、UNDPのオフィスネットワーク(これらの問題を管轄している)、IDEAのような民主主義を扱う組織、FLACSOのような学術機関、ローマクラブのような市民社会の国際組織の支援を得れば、国や地方レベルで多数の招集者を容易に見つけることができる。
招集者は会議当日に先立ち、議論される問題に関する資料をリソースペーパーとして参加者に回覧できるようにすることも可能である。理想的には、合意点と不同意点に関する簡単な報告書も、地域会議のためには準備されるべきであろう。
2c)地域会議について
地域会議はある程度アカデミックな人材がいるところで開催されるべきだろう。地域センターは、全国の反省会から得られたすべての回答の集計を受け取り、同意点、反対点、勧告を整理する。そして、ある特定の日に、すべての地域センターで、同じように会議を招集し、全国および地域の「反省の日」からのインプットを発表する。
「全国反省会」のすべての会合で、地域会議への代表を指名するよう求めるのは非常に複雑で、ガバナンスの問題が生じる。招集者は、衝突を避けなければならない。地域会議は選出された者に公開されるが、万が一摩擦が生じた場合は、これを参加希望者全員に公開しなくてはならない。
このプロセスの主な目的は議論と討論を生み出すことであり、構造化された制度をつくることではない。私たちはラテンアメリカに1つ、カリブ海に1つ、ヨーロッパに1つ、アメリカに1つ、中東に1つ、フランス語圏アフリカと英語圏アフリカに1つずつ、アジアの異なる地域に4つの会議を設けることを提案している。
地域会議はオンラインで開催されるが、最後の世界会議(GC)は直接対面で開催される。そのため、プロジェクトが負担する世界会議の代表者は11の地域会議のそれぞれのオーガナイザーとなる。
2d) グローバルカンファレンス(世界会議)
世界会議の開催地は、協力者が多い町がいい。地域会議からの参加者11名(ロシア、中国が加われば13名)を集め、今回は対面式で3日間の会議を行う。地域会議の報告を受け、グローバルに物事を見るための準備をするのである。
しかし、この世界会議では、宗教間対話や世界の市民社会機関の代表など、世界的に著名な人物や機関も招待することができる。そして、このプロセスで集められたデータやアイデアに基づいて宣言が起草され、それがメディアやソーシャルネットワーク、国際機関に広く配布することになる。この最終文書は全プロセスに関わった人々、および関心をもつすべての人々に優先的に送付される。さらなるアクションのための提案は、この計画の一部にとどまるのではなく、まったく別のイニシアティブを生み出すことになるのだから。
なお、以上の提案の強さは、それがわずかな予算でできることにある。
(つづく)
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