2024年11月13日( 水 )

奇跡の逆転でJ1残留にたしかな一歩 札幌1-2福岡

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アビスパ福岡 イメージ    サッカーJ1リーグアビスパ福岡は8日、アウェーの札幌ドームで北海道コンサドーレ札幌と第32節の試合を行った。

 試合開始前の時点で、アビスパは16位。J1参入プレーオフ圏内にまで順位を落とし、もう負けられない状況に陥っていた。だが、その難しい状態にありながらも試合内容は今1つ冴えない。横浜F・マリノス戦、ヴィッセル神戸戦と、ここ最近アビスパが陥る負けパターンは、一言でいえば「ジリ貧」。堅守が売り物だったはずが早い時間に失点を許し、ゲームプランを崩してまで追いかけることもできないまま時間が過ぎ、終盤に攻撃的な選手を投入してもチャンスをつくれずそのまま敗退……。見ている側としても、ストレスを感じる敗戦を繰り返していた。

 この日の札幌戦も、立ち上がりは同じ様相。12分、札幌MF駒井善成がアビスパゴール前に長いボールを送る。ここに札幌MF金子拓郎が走り込み、さらに背走してボールを追ったDF宮大樹が頭で懸命にそらす。このボールがGK村上昌謙の前に飛び、村上が弾いたところに抜け目なく詰めていた札幌MF青木亮太がゴールに流し込んで札幌が先制点を挙げた。

 だが、これで意気消沈しないのがアビスパの良さだ。前線からのプレスでボールを奪うと、FWルキアン、FWジョン・マリらが相手DFの背後を一気に狙う。対する札幌は、この試合に勝てばJ1残留が決まるとあって意欲的に2点目を狙ってくる。両チームが角を突き合わせるような試合展開が続く。

 後半に入ると、アビスパの攻勢が少しずつ札幌を上回っていく。48分にはFW山岸祐也のダイビングヘッドがポストを直撃するなど、惜しいシーンが増えていく。

 その執念がついに実ったのは75分。MF中村駿のコーナーキックに頭から飛び込み、ドンピシャで合わせたのは、前半失点に絡んでしまったDF宮大樹だった。矢のようなヘディングシュートは札幌GK菅野孝憲の手とゴールポストを叩き、気持ちを乗せてゴールに突き刺さった。

 そして直後の76分には歓喜の瞬間が待っていた。ハイスピードの攻守の応酬からボールを受けたFWフアンマが、マークについた札幌DF岡村大八の股間を抜き去り、右インサイドキックで冷静にゴールに流し込んだ。まさに電光石火の一撃だ。

 同点に追いついた宮のゴール、そして逆転を成し遂げたフアンマのゴール。両選手の雄叫びが、北の大地に響き渡った。

 終盤、札幌は188cmの長身FW中島大嘉を投入して攻勢を強めるが、アビスパの必死の防戦にあって得点には至らない。試合はこのまま終了し、アビスパは貴重な勝ち点3をつかみ取った。その結果、アビスパは15位に浮上。J1残留に向け、大きな一勝となった。

 勝利こそ最高の良薬。それは我々サポーターにとってもそうだが、ピッチで戦う選手たちにとっても同じはずだ。

 アビスパ福岡の今シーズンは残り2試合。まずはホーム最終戦の柏レイソル戦(10月29日開催)で勝って、「J1定着」という最大の目標を手繰り寄せたい。

【深水 央】

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