脱原発を株主提案、25日に電力9社が株主総会
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沖縄以外の電力会社9社が6月25日、株主総会をいっせいに開く。8月中旬に川内原発1号機の再稼働をめざす九州電力では、「九電消費者株主の会」の株主らが「原発災害への補償金を積み立てない限り、再稼働を行わない」「原発廃炉等検討委員会を設置する」などの株主提案を提出している。九州電力は4期連続赤字決算のため、剰余金を取り崩した2011年度以後、3期連続無配。
止まらぬ脱原発運動
九州電力は7月上旬にも原子炉に燃料を入れる段階まできているが、脱原発運動は止むことがなく続いている。
川内原発再稼働をめぐって、火山対策への疑問や、外国で採用されている最新設備のコアキャッチャーの未設置など防災上の問題点が指摘され、実効性のある避難計画もできていないため、地元周辺を含む再稼働反対の世論は根強い。川内原発1号機は2014年9月に国の規制基準への適合審査に合格し、現地での使用前検査が続けられている。再稼働差し止めを求めた仮処分が鹿児島地裁で棄却されたが、再稼働阻止の行動は止まらない。
背景には「絶望に絶望し歩き続ける」(作家・佐高信氏)に象徴されるように、原発事故の未曾有の被害という現実と、取り組んでいる市民らの「二度と繰り返してはいけない」という熱意がある。戦争にしろ原爆被害にしろ、「二度と繰り返してはならない」という思いの深さは、絶望的な状況に陥っても、諦観することがない強さがある。現に、核兵器使用一歩前という危機一髪の事態に繰り返し直面しながらも屈することがなかった核廃絶を願う国際世論が、核保有国の指導者にその使用を思いとどまらせてきた。「ストップ再稼働」へ1万5,000人が集会
福岡市では6月7日には、「ストップ再稼働!3万人大集会」が開かれ、会場の舞鶴公園には1万5,000人(主催者発表)が集まった。
会場では、グリーンコープが組合員から集めた一言メッセージカードを展示していた。集会の案内チラシの裏面を使って募集したもので、1週間で210通が寄せられたという。
「原発事故の避難者はいまだに自分の家に帰れていない今、原発の再稼働などあり得ないです」など、切実なメッセージが書かれている。
グリーンコープの担当者は「お子さんと一緒に書いたと思われるものもあり、単に原発反対の意思を示すだけでなく、家族で原発について話すきっかけになったことが大事だと思います」と語る。家族での会話のなかから、未来の子どものために脱原発という結論に至る過程に重要性がある。
グリーンコープでは、原発再稼働反対だけでなく、グリーンコープ市民発電所の取り組みや、被災地支援も続けている。
原発再稼働を止めるのは容易ではないが、脱原発が一過性の運動ではなく、「あきらめるわけにはいかない」という粘り強さを持っている。
集会では、福島の被災者で、国と東電の責任を問う福島原発告訴団の武藤類子団長が「原発事故とは生きる者の尊厳を奪うもの。今、徹底して被害を切り捨てようとしている」と訴えた。原子力市民委員会の吉岡斉・九州大教授らが挨拶し、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフ氏が首相官邸前おなじみの「再稼働反対コール」の音頭をとり、参加者が唱和。参加者は「再稼働のスイッチは押させない」と決意を新たにした。再稼働のスイッチを誰が押すのか
諫早湾干拓事業で「ギロチン」と呼ばれた諫早湾締め切り(1997年4月)の際に、鋼板を落とすボタンを誰が押したかわからないように、ダミーのボタン10個を含む11個のボタンを知事や市長ら11人でいっせいに押した。
原発再稼働のスイッチを誰が押すのか。25日の株主総会では、瓜生道明社長自ら押すという宣言が飛び出すのか。株主総会は同日午前10時、ホテルニューオータニ博多で開催される。【山本 弘之】
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