どうする政治参加の促進?田中しんすけ議員に聞く(3)
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――『絶望の国の幸福な若者たち』(古市憲寿、講談社)がベストセラーになり、今の若い世代は、参加意識がないというのではなくて、将来は良くならない、だから今が一番幸せだという見方もあります。今後の社会をどうしますか。
田中 私は国政に責任を持って言うことはできないですけど、次の世代の負担にならない、過度な負担にならない制度設計、たとえば今のままでいけば年金制度、医療制度というのは、少子化と高齢化で維持できない。そういう将来の人口動態や社会状態を見越したうえで、持続していける制度に変えていく、制度設計にもう一度取り組んでいくというのが我々責任世代の1つの責任だと思います。
そういう意味でも、我々からもっと若い世代、10代、20代の世代の方々にも発言してほしい。そのなかで若い世代自身の「自分たちの将来を考えたときに、こうあるべきだ」という意見を取り入れながら、制度設計をしていかなければいけない。つまり、生まれた瞬間、将来を悲観するような国ではいかんと思いますし、そういう制度ではいけないと思います。
年配の方から若い方まで政治に参加してもらうという環境づくりから始めて、そこでみんなで話していきましょうよ、と。議論への参加を促進していくことが大事です。――参加促進は実っていきますか。
田中 実らせないといけないし、私が日頃から言っているのは「みんなが参加してみんなで決めたことだったら、納得できるじゃないですか」ということです。100人いたとして、100人が話し合って決めたことならば、その過程があること自体で納得してもらえる。しかし、今は100人のうち30人40人しか議論に参加しないなかで物事が決まってしまって、残りの半数以上の人は関与していないという状況。どうしても不満が出て来るし、そういう状況は社会のルールとして、健全ではない。社会で生きている以上、社会との接点があるわけで、社会の一員として参加して、意思決定に関わってもらうという健全な社会にしていかないといけないと思っています。「全員参加、投票率100%」と、私はたまに言うんですが、そういう意味で投票率が高くなればなるほど、政治ってもっと良くなるはずですよ。
――理想論といって切り捨てるべきなのか、あるべき社会を言い得ているのか。
田中 「みんなが参加して決めている」という、そういう社会を目指したいですね。
今の社会は、いいことばかりではないと思います。人口も減っていって、税収も減ってきて、市民に分配できる果実が減ってくる。パイが少なくなってくるなかで、パイが大きいときは切り方を変えなくてもみんな喜ぶけど、パイが小さくなってくると、切り方を変えなければみんなが文句を言う。その切り方を変えていくのが政治家の仕事ですから、政治家っていうのは、「何をしても誰かに文句を言われる」仕事になっていくと思いますよ。それでも、税金の分配や社会ルールの変更は政治を通して考え決めていかないといけないことなので、市民に対して厳しい決断となる際にも「こういう事情がある」「分け前は減るけど、こういう代替案で不都合・不利益が最小化していく」ということを、議論や説明のなかで伝えていく。そのようなプロセスを踏んで共通認識を持てれば、納得してもらえる。投票率100%、みんなが参加して決めていく社会というのは、目指すべき健全な社会だと思います。(つづく)
【聞き手・文:山本 弘之】<プロフィール>
田中 慎介(たなか しんすけ)
1978年生まれ。福岡県立筑紫丘高校卒業、九州大学法学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間会社を経て、2007年福岡市議に初当選。現在3期目。関連記事
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