チャレンジできる企業風土を醸成 「働きやすさ」と「やりがい」を両立(後)
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三興バルブホールディングス(株)
代表取締役社長 長崎 洋也 氏(株)三興バルブホールディングス(HD)は、グループ企業として、九州全域で管材機材の卸売を手がける三興バルブ継手(株)、大分県を拠点として主にプラント向け配管資材を取り扱う(株)協和商会、中四国エリアにおける三興バルブHDの中核企業としての役割を担う武蔵鋼管(株)、配管部材の加工を手がける(株)エフライズを擁している。同社の長崎洋也社長に今後の取り組みなどを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)
労働時間を短縮 社員の働きやすさを追求
──先ほど「2024年問題」についての話が出ました。近年、とくに若い人はワークライフバランスを重視する印象がありますが、貴社ではどのような対応を取られていますか。
長崎 労働時間の短縮を徹底しています。たとえば当社のパソコンは、ある一定の時間になると動作できないように設定されています。パソコンが使えないと仕事にならない社員が多いため、賛否両論ありましたが生産性の向上につながったのか、昔に比べると社員の終業時間がずいぶん早くなった印象があります。
──働きやすい環境づくりのほか、「やりがいの創出」なども心がけておられるのでしょうか。
長崎 社員の多くが口をそろえて「チャレンジさせてもらえる会社」と当社を評してくれています。当社では公募制を採用しています。たとえば、ある営業所の所長が定年などによって退職する場合、通常であればその営業所のナンバー2にあたる人間を所長に据えるのが普通なのでしょうが、当社では「やりたい」という要望があればできるだけその人間を所長にするようにしています。
今年、佐賀営業所の所長になったのは、手を挙げた26歳の男性社員です。佐賀営業所には社員が8人おりますが、ほとんどが彼より先輩です。当初はやりにくかった面もあったかもしれませんが、倉庫の片づけを率先して手伝ったり足しげくお客さんのところに赴いたりするなど、とても頑張ってくれています。彼のそうした頑張る姿を見ているため、周りの社員がなんでも相談に乗ってあげるなど、手厚いサポートをしています。営業所の雰囲気もとても良く、業績も好調です。
エフライズの設計担当も公募を行いまして、それまで配送を担当していた社員が設計を担当しています。「この分野にチャレンジしたい」という気概のある人には、どんどんチャレンジしていただきたいですね。
──畑違いでもチャレンジさせるというのは勇気がいることのように感じますが…。
長崎 もちろん事前に教育はしています。ただ、社員であれば自社の商品をよく知っています。そして、その商品がどのような図面で設計されているのだということを知ることで、より深い商品知識を得ることができます。その後、違う部署に異動したとしても、そこで得た知識を必ず生かすことができるでしょう。
──お話をうかがっていると従業員満足度が非常に高いように見受けられます。
長崎 先日、ホームページに載せる会社紹介の動画を撮影しました。その際に第三者による社員へのインタビューがあったのですが、そのなかで1人の社員が「どんな業界か、というよりもどんな会社か、という観点で三興バルブ継手を選んだ」といった旨の話をしていました。経営者としては非常にうれしかったのですが、それと同時に今後はこれまで以上に会社のミッションやビジョンといったものを強く打ち出していく必要性を感じました。そして、言葉だけでなく、それらを実際に行動に移していかなければなりません。まだまだ道半ばではありますが、今後も理想と現実のギャップを埋めていくための作業を続けていくつもりです。
「10人の社長」を生み出すのが目標
──こうした貴社の社風は長崎社長が就任されてから醸成されていったのでしょうか。
長崎 社員を大事にする姿勢は創業以来の伝統です。「チャレンジできる会社」という点でいえば、私になってからかもしれません。私自身、これまでさまざまなことにチャレンジしてきたので、チャレンジすることの大切さは身に染みてわかっているつもりです。
将来的な目標の1つとして「10人の社長を輩出する」というものがあります。そのためには、当然10の会社が必要となってきます。もちろん10人の社長を生み出すために無理に会社をつくるようなことはしません。事業として成り立つかどうかを慎重に精査したうえで、可能だと判断すれば会社をつくり、そこに新たな人物を社長に据えたいと考えています。ちなみに近いうちにグループ4人目の社長が誕生する予定になっています。
──入社したい企業で福岡県内トップ10に入るのを目標にしていると聞きました。
長崎 マイナビと日本経済新聞が共同で行っている「大学生就職企業人気ランキング」が毎年4月に発表されています。そのなかに「地域別ランキング」というものがあるのですが、九州・沖縄地区のランキングにおいてアイ・ケイ・ケイホールディングス(株)さんが毎年上位に食い込んでおり、最新のランキングでは3位にランクインしています。当社が目指すのも、そのアイ・ケイ・ケイHDさんです。
毎年、必ずのように上位にランクインしているということは、会社自体に魅力があることにほかなりません。当然、そこで働く人が会社に満足している必要がありますし、業績も上げていなければならないでしょう。「いい会社にしたい」と口でいうだけなら簡単ですが、名実ともにそうするためには越えなくてはならないハードルが多数存在します。「就職企業人気ランキング」は、「いい会社」になるための1つの指標だと思うのです。
ランキングの上位にはアイ・ケイ・ケイHDのほかにも、西日本シティ銀行、ふくおかフィナンシャルグループ、西原商会、コスモス薬品、西日本鉄道といった錚々たる面々が名を連ねています。そうした企業のなかに当社が割って入るのが当面の目標ですね。高いハードルがあるからこそ、それを乗り越えるべきには何をすべきかが見えてくると思うのです。
(了)
【文・構成:新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:長崎 洋也 ほか1名
所在地:福岡市博多区石城町12-1
設 立:1951年1月
資本金:4,500万円
売上高:(21/12単体)97億6,788万円
URL:https://sankovalve-holdings.co.jp/
<プロフィール>
長﨑 洋也(ながさき・ひろや)
1970年生まれ。福岡県出身。96年、三興バルブ継手(株)に入社。2018年、三興バルブ継手代表取締役、19年、三興バルブホールディングス㈱代表取締役社長。現在に至る。関連記事
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