日銀の「金融緩和策の一部修正」を検証する
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日銀は19日~20日までの2日間、金融政策を決める会合を開き、今の大規模な金融緩和策を一部修正することを決めた。日銀は今まで、「プラスマイナス0.25%程度」の変動幅で推移するよう調節するとしてきた長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.5%程度」に変更した。
【表1】の通り、日経平均株価の終値は12月14日の2万8,156円21銭をピークに2万8,000円台を割って4日間連続で前日比マイナスとなり、昨日は日銀の金融緩和策の一部修正を受けて、前日比▲669.61円の2万6,568円03銭(-2.46%)と大幅に下落。4日間で1,500円超を下げて、今日もその流れを受け、前日比は5日連続の下げとなった。
【表2】は九州地銀の株価推移表である。本日午前中の株価は前日に引き続き施栓銘柄がプラスとなっていたが、ふくおかFG・西日本FH・佐賀銀行がプラスで、4銘柄は前日比マイナスで今日の取引を終えている。
【表3】は日銀の歴代総裁の経歴である。今回の金融緩和策の一部修正は、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正に強く反対してきた黒田東彦総裁が、23年4月からスタートする新体制に一定の配慮を示し、政策移行をスムーズにするために柔軟化姿勢に転じたと思われる。黒田総裁の退任が近いなかで、今の金融政策の枠組みはある程度維持しつつ、一方でこのまま何もしないで引き継ぐと新総裁にはやりにくい状況になってしまう。黒田総裁の金融緩和策の一部修正は、「YCCの延命により、新たな政策手段を講じるための時間的な猶予を与えること」に寄与するとの見方もできる。
しかし、あくまでも金融緩和策の一部修正であり、黒田総裁からは、「2%の物価安定目標の位置づけを中長期の目標へと修正する」ことや、「総括検証のようなものを実施する」ことの2つの段取りについて、明確な説明は示されなかった。
地銀(98行)が抱える日本国債や外国債券、投資信託の含み損は、22年9月末時点で合計2兆3,000億円に上っている。今回の日銀の不意打ちの政策修正は、日銀にとっては危険な賭けであると言っても過言ではなかろう。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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