2024年12月26日( 木 )

大丸別荘のずさんな衛生管理、県には虚偽報告

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 筑紫野市湯町で、150年以上の長きに渡り地元住民や観光客に良質な宿泊体験を提供してきた大丸別荘。昭和天皇や、美空ひばりさんをはじめとする多くの著名人が宿泊した老舗高級旅館として、相応の誘客力を発揮していたが、ずさんな衛生管理により、自らそのブランドに泥を塗ることとなった。

 福岡県の生活衛生課・営業指導係によると、大丸別荘では県が公衆浴場法施行条例第4条で定めた、循環浴槽における週1回以上の完全換水(お湯の交換)を実施していなかっただけでなく、浴槽水を消毒するために用いる塩素系薬剤の投入も行われていなかったという。

 こうした大丸別荘のずさんな衛生管理は、来福観光客からレジオネラ属菌が検出されたことで発覚した。当該観光客が宿泊した複数の宿泊施設を保健所が調査するなかで、昨年8月、大丸別荘で基準値の約2倍のレジオネラ属菌が検出されたのだ。

 保健所はこれを受け、すぐさま大丸別荘へ改善指導を実施。大丸別荘は一時休館となっていたが、レジオネラ属菌数が基準値内に改善されたことを受け、営業を再開。保健所も継続的に管理状況の確認を行うなかで、昨年10月下旬、大丸別荘は自主検査を行い、レジオネラ属菌数は基準値を下回っていたと、自主検査の結果を保健所に報告していた。

 しかし、翌11月に保健所が再検査を実施したところ、基準値の最大3,700倍にもおよぶレジオネラ属菌が検出された。保健所が大丸別荘に管理内容をヒアリングするなかで、先述の通り公衆浴場法で定められた週1回以上の完全換水を、年2回しか実施していなかったこと、そして、浴槽水への消毒用塩素の投入も行われていなかったことが発覚。自主検査の結果が虚偽であることも判明した。このため、大丸別荘は8月に続き、再度休館を余儀なくされた。

 その後、大丸別荘は昨年12月下旬に実施した自主検査と保健所の検査で、レジオネラ属菌が基準値を下回っていたため、営業を再開し、現在に至る。大丸別荘の虚偽報告は、公衆浴場法第9条に抵触する恐れがあり、今後罰則を受ける可能性がある。

【代 源太朗】

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