2024年12月23日( 月 )

“湯の交換年2回問題”で引責辞任していた「大丸別荘」の前社長が死亡

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

大丸別荘

 二日市温泉の老舗旅館「大丸別荘」を運営する(株)大丸別荘の前社長である山田眞氏が、12日朝に福岡県筑紫野市内の山道で、死亡した状態で発見された。自殺と見られている。

 大丸別荘をめぐっては2月24日、循環浴槽における完全換水(湯の交換)を年に2回しか実施しておらず、浴槽水を消毒するための塩素系薬剤の投入も行っていなかったことが全国紙で報じられた。これは、福岡県が定めた公衆浴場法施行条例第4条に違反する行為で、本来であれば週1回以上の湯の交換が義務付けられているもの。昨年11月の検査では基準値の最大3,700倍にもおよぶレジオネラ属菌が検出されていたほか、事前に同旅館が保健所に報告していた自主検査の結果が虚偽であったことなども報じられた。

 こうした報道を受けて、2月28日には代表取締役社長(当時)の山田氏が記者会見を実施。だが、「客が少なかったので、お湯の入れ替えをしなくていいと私が指示した」「大した菌じゃないという先入観があった」「塩素のにおいが自分の体質に合わずに嫌いだった」などと釈明し、さらに火に油を注ぐ事態となった。

 その後、一連の責任を取るかたちで、山田氏は3月2日付で代表取締役社長を辞任し、後任には総支配人の外木場大倫氏が就いていた。

 同旅館はその後、全国旅行支援の「新たな福岡の避密の旅」観光キャンペーンの参加事業資格が取消となったほか、今月8日には福岡県が公衆浴場法違反の疑いで同社および山田氏を刑事告発し、10日朝には県警による家宅捜索が行われていた。

【坂田 憲治】

関連記事