ウェリントン決勝弾で打倒鹿島! 福岡2-1鹿島
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サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡は19日、ホームのベスト電器スタジアムに鹿島アントラーズを迎えて、JリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第4節の試合を行った。
なおこの試合、筆者は自身初めてのゴール裏参戦。サポーター目線でのレポートも交えた記事をお届けする。
アビスパ、鹿島ともにリーグ戦前節では衝撃的な敗北を喫し、奮起が求められる試合。アビスパはアルビレックス新潟MF伊東涼太郎に3得点を奪われ逆転負け。鹿島はヴィッセル神戸に攻守で圧倒され、5失点の大敗だった。
「今日はゴール裏も人が少ないから、なるべく真ん中に集まって!」
ゴール裏の応援を仕切るコールリーダーが、スタンドに散らばるサポーターに呼びかける。この日はウィークデー、キックオフは午後7時と仕事上がりに駆けつけても試合開始ギリギリのスケジュール。週末開催の試合よりも、どうしても観客は少ない。筆者はこの呼びかけに応え、ゴール裏中央前列に移動した。
「向こう側のスタンドに届くように、1人ひとり声出していこうぜ!」
コールリーダーの声を受けて対面を見ると、鹿島側のゴール裏はチームカラーの赤に染まり、統制の取れたチャントが響いてくる。さすが、Jリーグを代表する古豪だ。
まずベススタで躍動したのは、アビスパ一筋19年のFW城後寿だ。14分、プロ初出場となったMF重見柾斗(福岡大学在学中)からのパスを受けたFW金森健志がソフトなスルーパスをゴール前に送ると、そこに走りこんだのが城後だった。鹿島GK沖悠哉のセーブもおよばず、先制ゴールとなった。
チームの精神的支柱・城後のゴールに、アビスパのゴール裏では歓喜が爆発する。筆者も初対面のアビスパサポーターたちと雄たけびを上げながらハイタッチを交わし、「オーマイ城後」のチャントを声の限りに歌った。
その後31分に鹿島FWアルトゥール・カイキのゴールで追いつかれ、鹿島が攻勢を強めるなか、アビスパは強度の高い守備とボール奪回後の素早いカウンターというスタンスは変わらず、しっかり耐えながら前半を終えた。
後半に入ると、アビスパはFWルキアンを投入。高い運動量と献身性で鹿島ディフェンスに脅威を与える。68分になると、鹿島が3人同時交代に出る。エースFW鈴木優磨がピッチに入った。その後、試合は一進一退で推移していく。
「引き分け」、という文字が現実的になってきた後半アディショナルタイムに、やはり歓喜の瞬間が待っていた。MF中村駿のコーナーキックに、ゴール前で一瞬フリーになったFWウェリントンが完璧に合わせる。途中出場の2人が、完璧に試合を決めてみせた。
ウェリントンの決勝ゴールを目の前で見たアビスパサポーターたちは、我を忘れてピッチ際に走り寄った。警備員が目を光らせていなかったら、あるいはピッチに飛び降りてしまうサポーターもいたかもしれない。歓喜がベススタを揺るがすなか、試合はアビスパの勝利で終わった。
──サポーターというのは、ここまで自分を追い込みながら試合を戦っているのか。
これが、初めてゴール裏での応援に参加した筆者の素直な感想だ。試合時間中、シートに腰を下ろすことができたのはわずか数回。コールリーダーのリードに応えてチャントを歌い、手を振り、跳ね続ける。ミネラルウォーターのペットボトルは前半で空っぽになり、腕が上がらなくなり、ふくらはぎはいつ攣ってもおかしくない。身体があげる悲鳴に気がつかないふりをしながら、ピッチ上を走り続ける選手たちに目を凝らす。
誰かに強制されたわけでもなく、ただ自分たちがアビスパを後押ししたいから。一緒に戦っているのは、ピッチの選手たちに「俺たちがここにいるぞ」と声を限りに伝えたいから。
今シーズンのアビスパは、そのサポーターたちの熱い気持ちに最高のかたちで応えてくれている。ここまで、ホームゲームでは無敗(7戦6勝1分け)。鹿島戦の勝利で、ルヴァンカップグループステージでは首位につけた。
DF亀川諒史、MF井手口陽介ら負傷による長期離脱を余儀なくされる選手も多いなか、アビスパの選手たちは惜しみないハードワークですばらしい結果を導いている。ゴール裏から、スタンドから、テレビの前から、それぞれのかたちでアビスパの躍進を応援したい。
【深水 央】
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