田村(仮称)は中国往来50年、彼と会うのは実に半世紀ぶりである。聞くところによれば、彼はこの10日間、およそ2年ぶりに北京、上海、南京の3都市をビジネスの打ち合わせで飛び回ったという。帰国後の彼と昼食をとった。開口一番、次のように言った。
「いやー、中国人の豹変ぶりには驚いたよ。まったく従順になっているのだ。民族の特性がすっかり変わったとでもいうものだね。いまだに街中では95%の人たちがマスクをつけている。貴方も中国に50回もわたっているなら、彼らというものを知っているだろうが、想像つかないであろう。」
筆者は次のように答えた。
「まったく信じられないね。よほどコロナ蔓延の恐ろしさが身に堪えたのであろう。中国人の持ち味はバイタリティであるが、君のいうように従順一色になったとすれば迫力も感じないね。」
さらに田村はいう。
「まさしくその通り。上海を歩いてみても人通りが減った感じがするし、往来の車両も静かな印象を受けた(あの中国がだよ!)。おそらく短期間で経済復活は難しかろう。」
半世紀の間、中国と接触してきた田村の見解には説得力があった。
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