奇跡の植物「モリンガ」の健康増進パワー
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、5月19日付の記事を紹介する。日本でも近年、徐々に関心が高まってきている「奇跡の植物」と呼ばれるモリンガですが、原産地はネパールです。ヒマラヤ山脈の南麓を原産とするワサビの木科の植物。何がすごいといって、90種類以上の栄養素と9種類のアミノ酸などを含む栄養素満載の「スーパーフード」なのです。このモリンガは葉、枝、幹、根、花のすべてが食べられます。
『奇跡の木』の著者であるモニカ・マークウ博士(臨床薬理学)の研究によっても、地球上で最も栄養素の豊富な植物であることが確認されているのです。原産地のネパールではモリンガのタネは「シッタルチーニ(涼しい砂糖)」として食されています。
また、モリンガの種子油は「ベンオイル」とも呼ばれていますが、紀元前からエジプト、ギリシャ、古代ローマで美容効果があるとされ、あのクレオパトラも愛用したとのこと。何しろ、モリンガには鉄分に関してはプルーンの35倍、カルシウムに関しては牛乳の11倍、葉酸に関しては納豆の7倍、ビタミンB2に関しては鶏卵の5倍と言われるほど栄養素の塊といえます。
ネパールでは植えてから1カ月半ほどの短いサイクルで収穫ができるうえに、やせた土地であっても自生が可能であることも幸いして、広範囲に育成されているようです。もちろん、自然界においても長年に渡り、ネパールやインドの人々の生活を支援してきたことは間違いありません。
そうしたモリンガの健康増進パワーは世界食糧機構(WHO)や世界食糧計画(WFP)も認めています。国連の食料農業機関(FAO)でも発展途上国の子どもの栄養状態の改善に向けて、このモリンガに注目して、各地での栽培を奨励するようになりました。
しかも、モリンガは汚水を浄化させる効果があることも日本熱帯農業学会で確認されています。更にいえば、モリンガはバイオディーゼルの標準規格に適合しており、燃料としても有効利用できる可能性が指摘されているほどです。
いわば、世界の食料や健康、環境問題への切り札となりうる「ヒマラヤからの贈り物」といっても過言ではありません。そのため欧米では商品化が急速に進んでいます。日本での普及はいまだ緒に就いたばかりといえる段階に過ぎません。
思えば、日本とネパールには長い友好の歴史が刻まれてきました。広島での被ばく体験から医療の道へ進み、鳥取大学医学部を卒業した後、同大学助教授を経て日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)からネパールに派遣された岩村昇医師は、まさに両国の架け橋的な存在でした。
18年間に渡り、ネパールで結核やハンセン病などの治療に貢献し、「ネパールの赤ひげ」と呼ばれました。そうした地道な医療活動が評価され、アジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」も受賞。2005年に天寿を全うされましたが、その遺志を継ぐ若い世代がネパールでも日本でも育っています。
岩村医師の貢献もあり、ネパールは大の親日国です。最近はネパールから日本に留学、職業訓練、介護職を含むビジネスで訪れる人が増えています。その増加スピードは中国やベトナムを抜く勢いです。
とはいえ、中華料理やインド料理の店はあちこちで見かけますが、ネパール料理のレストランはまだまだ限られているようです。栄養素の高いモリンガへの関心が高まれば、ネパール料理に限らず、モリンガを使ったパスタやスイーツなども日本・ネパールの合作商品として登場する可能性もありそうです。
粉末状に加工して日本に持ち込めば、健康サプリやオリジナル商品に変身するであろうことは容易に想像できます。「ヒマラヤからの贈り物」が日本で「スーパーフード」としてデビューする日が待ち遠しい限りです。
次号「第342回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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