2024年12月22日( 日 )

福岡10区に大石北九州市議が立候補表明~県内で相次ぐ保守分裂

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若手議員同士の戦いとなるか

 次の衆議院選挙が今秋にも行われるといわれるなか、21日、自民党の北九州市議会議員が福岡10区から立候補することを正式に表明した。
 午前9時から北九州市内で立候補表明を行ったのは、大石仁人・市議会議員。現在、「自民党・市民が市長をつくる北九州未来市議団」に所属している。大石氏は元高校教諭で、先に福岡9区から立候補を表明した三原朝利氏とは同じ会派に属し、いずれも2月の北九州市長選挙で無所属で立候補し当選した武内和久市長を支援していた。自民党市議団は、大石氏らの除名処分を党県連に求めているが、三原・大石両氏は、自民党県連の常任相談役を務める麻生太郎・自民党副総裁に近く、同士撃ちによって野党を利することを警戒する県連幹部が処分を保留している。

 大石氏は21日の記者会見において、「国と市をしっかりと繋いで、北九州の発展を確実なものとするとともに、その発展を加速させていきたい」と語り、自民党の公認候補として立候補を目指すことと、仮にほかの候補者が公認となった場合でも、無所属で立候補すると述べた。同党福岡県連は福岡10区の公認候補予定者の公募を検討しているが、大石氏は公募に応じる意向だ。

 福岡10区には、大石氏以外にも小倉南区選出の自民党県議団所属の県議会議員・吉村悠氏も立候補の意向を示している。吉村氏は先月27日、福岡市内で開催された職能団体の会合において、記者が立候補の意向を尋ねた際には「山本幸三先生が、いらっしゃいますから」と明言を避けていた。

 吉村氏が今後、正式に立候補表明を行い、県連が行う公募によって候補者が決まった場合、9区同様、保守分裂となる公算が高い。自民党福岡県連は、来週25日に次期衆院選の公認候補選定のための会合を開く予定である。

 大石氏も吉村氏も共に30代後半。大石氏が38歳、吉村氏が37歳と1歳違いだ。両名共に自民党内にあって改革志向の若手議員だ。吉村氏は昨年、福岡県議会が議員提案で可決した「福岡県における議会関係ハラスメントを根絶するための条例」の検討会議の座長を務めていた。

 10区で迎え撃つ野党候補は、元文部科学政務官で現在、立憲民主党福岡県連代表を務める城井崇氏である。福岡県内11選挙区のうち、立憲民主党が小選挙区で議席を有するのは、5区と10区のみであり、保守分裂と同時に、旧民主が牙城を守れるかどうかという点も注目される。

各地で表面化する保守分裂

 現時点で福岡10区、9区以外にも、県内には保守分裂の選挙区がある。福岡4区においても、元福岡県議会議長・吉松源昭氏が立候補を表明し、現職の宮内秀樹氏の公認差し替えを求めている。

 また、福岡6区は、現職は鳩山二郎氏だが、初当選を果たした16年の6区補選の遺恨がいまだ尾を引き、鳩山氏は、県連に所属せず、原口剣生・県連会長が久留米市を含めた福岡6区を取り仕切っている。久留米市議会議員などの間では、原口氏の子息が次の衆院選に出るといわれており、6月に行われた久留米市議会の議長選挙で、原口県連会長に近い会派が、鳩山氏に近い会派に勝って議長ポストを得たのは、水面下で戦いが始まっていると見る向きがある。

 以上、福岡県内の動向であるが、関門海峡を挟んだ対岸の新山口3区は、林芳正・外務大臣が公認候補となる同区支部長に就任することが決定した。現在の山口4区は、現在の3区から山口市の一部と宇部市を除いた地域と合区となり、次の選挙からは山口3区になる。現在の4区支部長、吉田真次氏は比例中国ブロックへ転出となる。

 山口県では、中選挙区時代から安倍対林の因縁があり、旧山口1区において、下関市を地盤とする安倍元総理の父、安倍晋太郎氏と林外務大臣の父・林義郎氏がしのぎを削ってきた。地方議員や地元企業も安倍・林双方に分かれて争い、現在も下関市議会において勢力争いは続く。

 全国津々浦々でそういった保守分裂の構図が表面化してきている。自民党にとどまらず、保守にとって崇拝の対象ですらあった安倍晋三という重しがない今、国会議員から地方議会まで、泥沼の戦いが始まったといえる。

【近藤 将勝】

法人名

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