2024年12月22日( 日 )

【高島市長講演】福岡市の使命は九州、日本を盛り上げていくこと

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講演する高島市長
講演する高島市長

イベントの再開で期待される経済効果

 高島宗一郎福岡市長は6日、ホテルニューオータニ博多(福岡市中央区)で市政報告会を開催し、満席の聴衆に対して、「福岡未来設計図~アジアのリーダー都市をめざして」と題する講演を行った。前半ではコロナ後の各種イベントの再開を含めた取り組み、後半では民間活力を生かしたまちづくりに関して講演した。

 高島市長は冒頭、3年続いたコロナ感染症の感染症法上の位置付けが、「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類感染症」に移行し、行動制限が緩和されたことに言及。「この福岡の街も、日本も、動き始める時がやってまいりました」「やっぱり博多は祭りだなと思います」と力強く語った。

 博多の街は現在、博多祇園山笠のシーズン真っ只中であり、市政報告会の会場にも「長法被」を着用した男性も来場していた。高島市長は「制限なしの山笠の開催となります。来週の追い山に向けて、博多の街はさらに盛り上がりを見せます。今年は、追い山が土曜日に行われますし、櫛田神社駅前ができてから最初の山笠ということもあり、たくさんの方にお越しいただけるんじゃないかと思っております」と期待をにじませた。

 14日から30日まで福岡市で開催される「世界水泳選手権2023福岡大会」(以下、世界水泳)は、当初は2021年に開催予定だったが、東京オリンピックの延期やコロナ感染拡大の影響で2度延期された。「本当に延期が重なったときは、がっかりしましたけど、今考えたら、中途半端に昨年無観客で行うよりも、今年気持ちよく開催し、本来の趣旨を全うしたほうがよかった」と振り返ったうえで、「ぜひ、お子さんにも世界のトップの競技を見せる機会にしていただければと思います」とアピールした。5類への移行による観光客の増加や世界水泳の開催で世界中から多くの来場者が訪れることで、宿泊税は今年度18億5,000万円が見込まれるという。世界水泳の見どころにも言及。白血病が発症した池江璃花子選手も今回、自由形、バタフライの4種目に出場するという。

民間活力を生かした都市づくり

 現在実施されている都市再開発事業の「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」に関して、高島市長は「決してハードの建替えをすることが目的ではない」と強調。その最大の想いは、「福岡をより大きな夢を描ける街にしたい、自己実現ができる街にしたい」というもの。長年にわたり福岡市民に親しまれてきた天神コア、天神ビブレなどが解体され、天神や博多の街並みが変貌することに寂しさを感じる市民が多いことへの配慮を感じた。

 一方で「その先にソフトの新陳代謝、つまり企業の新陳代謝を促してより高付加価値のビジネスを福岡に集積をさせていく、より給料の高い仕事を福岡に集積させていくということも狙っている」「大きな九州のダムの関としたい」と、優秀な人材が東京、上海やシンガポールなどに出ていくのを防ぐべく構想したと強調した。

 民間のノウハウや資金の活用に関して、高島市長が事例としてあげたのが、「油山牧場」「油山市民の森」を一体化した「ABURAYAMA FUKUOKA」である。従来の両施設は自然のなかでキャンプやアスレチックなどを体験でき、市民の憩いの場として50年にわたって親しまれてきたが、設備が老朽化していた。高島市長も視察を行い、リニューアルについて公募を実施することを決定。両施設は営業を継続しながら、JR九州を中心とした企業体が再整備を行っていた。高島市長は新旧の油山牧場の画像を示しながら「平日の来場者数も従来の3倍以上になりました」と民間による運営のメリットを強調した。

 この他、公園を再整備したことやスケートリンク「パピオアイスアリーナ」が、4月より新たに「オーヴィジョンアイスアリーナ福岡」として営業を再開したことなどを紹介した。

 最後に、福岡、九州、そして日本を元気にしていくという目標を進めるにあたり、触れられた課題が、再来年開催予定の関西万博との相乗効果を福岡でいかに生み出すのかについてだ。外国人観光客が東京、箱根、富士山、京都、大阪などをめぐる広域の観光周遊ルート、いわゆる「ゴールデンルート」を、関西より西のエリアである九州にもつくりたいと意気込む。「たくさんの人に九州を周遊してほしいと思っています。そのために大阪をはじめ全国の志ある首長と連携して動きを始めていきたい」(髙島市長)と熱い想いを語った。

 「私たちの役割は、福岡を元気にしていくことだけでなく、九州全体を盛り上げていくことです。それが九州の雄である福岡に住む私たちに課せられた大事な使命です。そして元気な日本の復活を目指していきたい。福岡には、アジアに向けてチャレンジしてきた先人たちがおり、私たちと同じように行動していました。きっと私たちにもできます、チャレンジのときは今です」と、自身が市民の先頭に立って取り組んでいくという決意を語って講演を締めくくった。

【近藤 将勝】

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